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World Cafe 留学体験記 ~欧米編~

  • 著者: 亥鼻祭 World Cafe
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:亥鼻祭World Cafe
  • 留学目的:基礎研究・臨床実習

2020年12月に実施された千葉大学の学祭「亥鼻祭」において、医療系学生の留学を応援されている World Café さんが掲載されているコラムを、私たちINOSHIRUでも紹介させていただけることになりました!

2021年度一発目のコラム、まずはドイツとアメリカへの留学体験記をご紹介します✨

 

ドイツ・マグデブルグ大学

  • 学部学年:医学部2年(留学時)
  • 留学先:ドイツ マグデブルク大学
  • 留学期間:2016年9月1日~28日
  • 留学目的:基礎研究交換留学

【概要】 国際医学生連盟(IFMSA)という世界の医学生によるNGOを通じて基礎研究の交換留学をしました。研究だけでなく、他国の医学生との交流も楽しみたいと思っていたので、ヨーロッパ各地から医学生が学びに集まるドイツを希望しました。結果配属されたのは、ドイツ北東部の田舎町、マグデブルクにある大学の産婦人科基礎系研究室でした。

【スケジュール】 平日は朝9時前には到着するように研究室へ向かいます。まず教授とその日の予定を確認したのち、実験の作業に取り掛かります。研究テーマは、細胞培養に用いられるウシ胎児血清の効果検証でした。自分の実験作業以外の時間は、研究室メンバーの実験の見学・手伝いや、曜日によってはミーティングに参加しました。15時前後には教授と進捗を確認し、帰途につきました。その後は夕方に友人と待ち合わせて街の中で遊んだ後、店で食事orピクニックorホームパーティをするか、家で過ごしていました。

休日は友人とドイツ各地をドライブしながら観光しました。

【留学での収穫】 基本的な研究室内での実験の手技を英語で見学・体験(クリーンベンチ内での操作をはじめとする細胞培養の方法や、フローサイトメトリー、リアルタイムPCR、病理組織標本作成など)できました。また、ドイツをはじめ、フランス、トルコ、ブルガリア、リトアニアなどヨーロッパ各国の医学生と長い時間を共に過ごし、かけがえのない思い出になりました。彼・彼女らと話す中で、それぞれの国の医学教育や医療体制、医師の働き方について生の声を聴くことができ、日本の医療を客観的にみる視点を養うことができました。

【ハプニング】 ベルリンのナイトクラブに5人で行ったのですが、なぜかいつも男子だけが屈強なドアマンに弾かれるので、全員一緒に入場できるクラブにたどり着くまでかなり苦戦しました。笑

【観光】 マグデブルク:ドイツ北東部の田舎町。一応名所としては現代建築家フンデルトワッサーの集合住宅「緑の砦」があります。有名観光地のようなキラキラワクワクドキドキはないですが、のんびりとした町全体の雰囲気は1か月間暮らすには最適でした。

ベルリン:ドイツの首都で言わずと知れた一大観光地。ベルリンの壁やブランデンブルク門はもちろんですが、個人的には国会議事堂上から見渡せるベルリンの景色がイチオシです。

ライプツィヒ:芸術、文化の町。動物が檻に閉じ込められていない先進的な動物園が面白い。

クヴェードリンブルク:中世の木組みの家並みが美しい世界遺産の古都。

【アピールポイント】 IFMSAは交換留学なので比較的安価に行けます!(1か月分の家賃+昼食費を8万円払えば、あとは航空券と生活費、交友費のみです。留学自体にお金はかかりません。)時期、場所にもよりますが運が良ければ世界各国の医学生と友達になれます!

 

アメリカ・University of California Irvine

  • 学部学年:医学部4年(留学時)
  • 留学先:UCI Medical Center
  • 留学期間:2019年12月2日~20日
  • 留学目的:臨床見学

<留学で学んだこと/印象に残ったこと>
みんな友だち
初めの1週間は腎移植科を見学しました。移植前後の患者さんの管理が非常に複雑で特殊であるため、腎泌尿器科とは別に存在しています。そこで働く外科医・内科医・看護師・栄養士・ソーシャルワーカーなど全員が腎移植科の専属で、他科で働くことはないそうです。各科がそれぞれ専属の医療チームを抱えているのだとか。チーム内での役割や年齢、キャリアなどは異なりますが全員が対等なメンバーとして互いを尊重している姿が見れました。仲間への敬意がなければどんな医者でも絶対にやっていけない、と先生がおっしゃっていたのがとても印象的でした。

私の腎臓を誰かに
研修初日に生体腎移植を見学することができました。驚いたのは、ドナーと患者の間に血縁関係がなかったことです。後で知ったのですが、友人に腎臓を提供することは稀ではないそう。更に驚いたのは、nondirected living donorというシステム、すなわち「誰でもいいから私の腎臓を差し上げます」という制度があることです。脳死移植ではなく、生体移植でです。病院の隣に大きな教会があるのですが、昔その教会の代表の人もその制度を使って臓器提供をしたとのこと。宗教的な影響もあるのでしょうか、誰かの役に立つためにレシピエントを指定することなく臓器提供をすることが時々あるそうです。
米国でも医療費の増大が財政を圧迫しており、中でも透析による負担がかなり大きなものとなっています。トランプ大統領の意向もあり腎移植の件数をもっと増やそうという政治的な動きがあるとのこと。そういった政治的な後押しもあるのか、生体腎移植の適用範囲が日本と比べてかなり広いなと感じました。(毎年100,000人登録されるのに対して移植件数は年に17,000件だからまだまだ足りてはいないらしい。。。)
余談ですが、アメリカの脳死移植で多いのは薬物中毒と交通事故の犠牲者。バイクに乗る人のことを走るドナーと呼ぶことも。移植医療に触れるかたわらで、社会が抱える問題も垣間見たような気がします。

BMI 70の悲劇
今回で5回目のアメリカになりますが、毎回思うのはみなさん体格がかなり立派。もちろん全員がというわけではありませんが、日本人と比べて肥満の方はかなり多いと思います。BMI 40とかそんなに珍しくないよ、という先生の話も驚きでしたが、体重250kg、BMIにして70前後の患者さんがCTに入らなかったという話にはさすがに耳を疑いました。
肥満対策。一皿あたりの食事の提供量を半分にする。車を使わずに公共交通機関の利用を促す。この2つが進めばみんなもっと健康的になるのではないかと、ついつい思ってしまいました。アメリカで過ごしたことのある方はもうご存知かもしれませんが、こちらの食事はかなり脂っこくて量も多いです。滞在中は外食が多かったのですが、気をつけないと2,3日連続でバーガーとポテトだけで過ごしてしまうことも。移動は基本車なのであまり歩く機会がありません。

Be Niceの文化
文化面で1つ印象的だったのがBe Niceの文化です。特にアメリカではヨーロッパとも違い、学校教育でも常にNiceな人になるよう教育されると伺いました。うまく説明するのは難しいですが、Polite や Elegant とも少し異なり、形式にこだわらずに誰にでもおおらかに楽しく接する雰囲気がどこに行ってもずっと感じられました。
手術室に入った際も、皆さん初対面にもかかわらず気さくに話しかけてくださいました。邪魔にならないようにと壁際によって見てたのですが、機械出しの方がどこからか踏み台を人数分持ってきてくださったり、術中に麻酔科の先生がわざわざ手招きして私たちに頭側のよく見える位置を譲ってくださったりと大変よくしていただきました。
UCIでお世話になった日本人の先生いわく、とにかく沈黙を避けたがるとのことでした。時や場所を問わず、いかに楽しい雰囲気を作れるか、それが人としての資質の1つとみなされるそうです。(自分も見習いたい)

 

さいごに

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