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キャンベラ留学日記 ~5月~

  • 著者: 松本 千慶(東京医科歯科大学医学部 6年生)
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:The Canberra Hospital
  • 留学目的:臨床留学

こんにちは。

キャンベラでの2ヶ月間の臨床実習を終え、日本に帰ってまいりました。

充実した実習生活を送らせていただけたことに、とても感謝しております。

5月はGeneral Medicine(総合内科)を回らせていただいていたので、その時の話を少ししたいと思います。

実習内容は呼吸器内科を回っていた時とそれほど変わりません。→こちら

 

●総合内科とは●

救急科に搬送された患者さんのうち、social backgroundsが複雑な方、一つと言わず様々な疾患をお持ちの方など、他の科がすすんで引き受けてくれなかった患者さんが主にGen Medに運ばれてきます。(救急のシステムについてはこちらを参考に

なんでも屋さんって感じです。(現地の先生曰く、Geriatricsの若いバージョンみたいな感じ)

例えば、アルコール中毒・IV drug user・ホームレスの方・刑務所にいる方など、日本の実習ではあまりお目にかからないbackgroundsをお持ちの方もいれば、心疾患&COPD&肥満&糖尿病&貧血….とたくさんの疾患をかかえる患者さんまで、本当に様々です。いろんな内科系の疾患の復習になるので有り難いです!

朝回診は基本的に毎日8:30からです。前にも書きましたがオーストラリアはカルテが未だに紙ベースなので、回診中誰かが書き留める必要があります。インターンがやらない時はわたしたち学生がその仕事を引き受けます。Attendingの先生と患者さんとの会話を少したりとも聞き漏らさないように集中し、Issue, Assessment, Planを急いで書き留めないといけないので、さすがの私も一応緊張します。特に私は薬の名前を正しく書くのが苦手なので、手が止まっている時は優しいイケメンの研修医が耳元で教えてくれます。(いつもありがとうございます……。)

特に週明けの月曜日などは、朝回診が夕方までかかってしまう時もあるので、そんな時はやはりコーヒー休憩を挟みます。

どんな時も一息つくことを忘れないようです。回診の後は、患者さんの診察に1人で行ったり、プレゼンの準備を行ったりしていました。日本でたくさん練習を積んできた成果が現地で発揮できていて、嬉しい限りです!

<GenMedの回診メンバー>

 

患者数がとても多い分、できるだけ早く患者さんを退院させる方向で進めないと回らないので、毎朝のカンファや回診ではいつdischargeさせるかという議論が多いです。特に14日以上の入院だと、カンファで議題となります。

家族がいて自宅に戻れそうな方は退院していただきますが、緩和ケア(約してPallと呼んでいます)やnursing home(介護施設)に行かれる方もたくさんいます。とはいえ介護施設もすぐには入れませんので、そのまま病院でお身取りされる方も。

Pall careと聞くとdeathを想像するご家族も多いので、現実を受け入れられずdiscussionに時間がかかることも多いです。院内には緩和ケア専門の相談員の方、MSW、医師、看護師の方と相談しながら今後の方針を決めていきます。


また、回診ではERやICUにも患者さんがいることが多いので毎朝回るのですが、時折、臨場感の溢れる現場に遭遇することも。(20人くらいの医師・看護師総動員で、心停止した患者さんにECMOを導入する現場など)そんな時は指導医の先生が、「回診なんかより、ここで見てな!」といってくださるので、ERやICUで色んな現場も経験できました。

 

●なぜキャンベラを選んだか●

英語圏かつ自分の興味のある科を高い確率で選択実習できる

診療科は第4希望まで出すことができますが、ほとんどの人が第1~3希望の中の2つに決まります。私はできるだけ多くの患者さんの診察や採血などの手技を実際に経験しておきたかったので、2ヶ月とも内科系の診療科を選びました。呼吸器内科は日本でも回ったので、日本とオーストラリアでの疾患の違いなどを学べて楽しいですし、総合内科は日本にあまり馴染みのない診療科なので、面白かったです。

・手技や診察をたくさん行える

日本にいるとせいぜい静脈血の採血くらいしか医学生は任せてもらえませんが、私は呼吸器内科にいる時には動脈血採血(ABG)を何度もやらせていただけましたし、他の学生はIV cannulationも何度かやっていました。こちらでは学生の仕事のようです。その他、色覚検査やMMSEやMoCAなどの検査も行わせていただきました。

それから、問診→身体診察→上級医にプレゼン、といった流れもたくさん経験できます。(現地の医学生はマストのようですが、私も先生方にお願いをしてやらせていただいていました)

留学前に日本でたくさん練習を積んできたものの(詳しくはこちら)、初めは一人で診察を行う自信が無かったので、現地の医学生と一緒に診察して容量を掴み、次から一人で患者さんの診察に行けるようになりました。Prisonorの患者さんと話したことも何度かあります。(警官が常に横に2人いて、ベッドに手錠で繋がれています)日本ではprisonorの患者さんに診察することはなかなかないので、いい経験になりました(笑)

上級医の先生方は、いつも私のプレゼンを熱心に指導してくださり、たくさんアドバイスを下さり、質問攻めにしてくださり、本当に感謝しています。

・オーストラリアの予防医療が自分の目で見てみたかった

私が医学部に興味を持ったきっかけが予防医療であり、現在も予防医療普及協会の正式メンバーとして活動しているのですが、なかでもオーストラリアは予防医療推進国として名高いのです。国を挙げてNational Immunization Programに力を入れていたり、かかりつけ医のGPのお医者さんが予防医療の推進に大きな役割を果たしていたり。是非とも自分の目で確かめたい、良い部分は日本に帰って取り入れたいといった思いでした。実際に現地の先生方にお願いをしてGPの診療所を2カ所訪問させていただいたり、GPの先生方が出席する講習会に参加させていただいたり、自分なりに現地で聞き取り調査を行ったりしたので、後に共有したいと考えています。

・実習の自由度が高い

もちろん診療科によるので何とも言えませんが……、おおむね拘束時間はそれほど長くありません。ですから国家試験の勉強や患者さんの診察などにたくさん時間を割くことができます。現地の医学生と一緒に授業に出ることもあります!(こちらも参考に

こちらから積極的にあれがやりたい、これがやりたいとアピールすれば、何でもやらせてもらえる雰囲気ですし、融通も利くと思います。逆に消極的な態度で臨むと得られるものも少ないと思いますが。私は呼吸器内科のsupervisorの先生にお願いをしてGPのクリニックへの訪問が実現しました!

・家探しをしなくてよい&寮が病院から徒歩1

2年前にプロセメでアメリカに行った時にアパートの契約のことでトラブルを起こしたので、二度と家探しはしたくありませんでした(笑) 配置としては、病院⇔図書館⇔寮が各30秒の移動で行けます。移動に無駄な時間もお金もかけなくてよいので、QOLは高めです。

……といった感じでしょうか。

キャンベラは首都なのに自然もたくさんで、とても心地良いです(^^♪

<病院のすぐ近くの散歩道>

 

●実習に参加して感じた事●

では実際にThe Canberra Hospitalでの実習に参加してどうだったか。

まず先生方に、基本的には現地の医学生と同じレベルの知識と語学力を持っているものとして扱ってもらえることが何より嬉しかったです!(まだまだですが)

「カルテ書けるよね?書いてもらっていい?」「採血してきてもらえる?」「サマリーを書くの手伝って~」などと、普通に任せてもらえるのがとても嬉しかったです……。

留学生だからまぁいっかといって放置されたらどうしようと不安に思っていた気持ちが、一気に吹き飛びました。お言葉に甘えて何でもチャレンジさせていただいていました。

ちなみに、カルテの解読は未だに克服できていません。。。(字がきたなすぎて過ぎて読めないからです)

それから、病院内にたくさん友達ができます!なぜならANUの医学生は皆キャンベラ病院で実習をするからです。また、他国から(マレーシア・香港・イギリス・台湾など)私たちのようにElectiveで来ている医学生もたくさんいて皆同じ寮に住んでいるので、仲良くなれますし、それぞれの国の医療の違いなどを知れて楽しいです!現地の医学生と一緒に遊びに行くことも、パーティーをする機会もたくさんあります。

 

<ANUの医学生とホームパーティー>

 

●Med Revue●

脚本、演出、ダンス、お芝居、演奏、歌、映像の編集など全てANUの医学生が行うミュージカルです。チケットやフードなどの売上金は全てCompanion Houseというオーストラリアの難民や外的・心的外傷に苦しむ人々をサポートする団体に寄付されるという、何とも素敵なイベント。(ちなみに今年は$15000寄付されたそうです。)

今年のミュージカルのタイトルは「How to train your doctor」でした♪

AI医師vs人間医師といった内容で、実習への痛烈な皮肉があったり、ユーモアたっぷりで面白かったです。勉強や実習で忙しいのに、たくさん時間をかけて準備しているなんてすごいなあと思ったのと同時に、日本でも歌や演奏やお芝居などに長けているTalentedな医学生は多いような気がするので、このようなチャリティイベントを是非やりたいと思いました。

<本当に素敵でした!>

 

●余談●

今回留学するにあたり、資金調達のためにFanfareというクラウドファンディングを利用させていただきました。⇒こちら

多くの方々のご支援の下に留学させていただけたことを、とても感謝しております。

ご支援いただいた皆様に対し、全員分リターンを発送いたしました。

<直筆のお手紙も同封してあります>

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

自分はキャンベラでの臨床実習がすごく合っていたと思います。(キャンベラがとても好きになりました!)

昨日できなかったことが、今日できるようになったりと、毎日少しずつ成長を感じられる日々でした。

 

これからもイノシルをどうぞよろしくお願い致します。

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