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ネパリ強く生きる!

  • 著者:神 亜沙美(秋田大学医学部 4年生)
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:Manmohan Memorial Community Hospital
  • 留学目的:ASHAの活動に参加

一問一答コーナー

名前神亜沙美(Asami Jin)
所属大学・学年:秋田大学医学部医学科4年
留学先の国:ネパール
留学先の大学(機関):Manmohan Memorial Community Hospital
留学の期間:大学3年3月 3週間
留学の目的:その他
留学の費用(概算):10万円
-学費:0
-家賃:700円/日(3食付)
-生活費:0
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):航空券6万円、保険9,000円
プログラム(仲介してくれた機関/人):特定非営利活動法人ASHA
利用した奨学金:なし
VISA:観光ビザ
保険:エイチ・エス損保
留学中の住まい:病院のスタッフルーム

プロフィール

再生医療による社会貢献の大きな可能性に惹かれ、横浜市立大学に入学し、生命医科学を専攻。一方で、在学中に様々な国を訪問し、ボランティア、インターンシップ等を経験。その中で、途上国における感染症や予防医学に興味を持ち、医師になる決意をし、秋田大学医学部医学科に学士編入学。現在、ネパールの病院に医療情報をデータベース化できるソフトウェアを導入している特定非営利活動法人ASHAのスタッフとして活動中。

サマリー

・思い立ったら即行動!

・インプットだけでなくアウトプットを!

・出会いに感謝!

Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて

医学部2年生の春休みに、アフリカに行った際に泊まっていたゲストハウスに、たまたまASHA代表の方も泊まっていて話を聞きました。ネパールの地方では、紙カルテを使用しており、それを患者が管理しているため、病院側にはデータが残っていません。また、患者がカルテを紛失すると全ての情報が失われてしまいます。このような状況を何とかしたいという現地の病院のニーズを受け、ASHAでは患者の医療情報をデータベース上で管理できるソフトウェア(ASHA fusion)を開発、導入しています。それにより、その地域ではどのような疾患が発生して、流行しているのか、どの薬が多く使われているのかなど、数値として可視化できます。さらに、そのデータに基づいて、より効率的に医療資源を分配したり、予防医学のための公衆衛生活動を行ったりできます。

この時、初めてアフリカに行き、現地の病院で臨床医として働く日本人医師のもとで実習をさせてもらいました。日本とは全く異なる医療状況を目の当たりにして衝撃を受け、医学生のうちでもできることを何かやりたいと思っているタイミングでした。ASHAが行なっている活動は、もともと自分が興味のあった分野でもあり、医学生の自分でもできると思いました。帰国後、ASHAの代表の方に連絡を取り、私もネパールに行きたいと話をし、そこからASHAのスタッフとして活動することになりました。

私が滞在していたManmohan Memorial Community Hospital(MMCH)も例外なく紙カルテを使用していましたが、MMCHの病院長の希望により、ASHAがASHA fusionを導入することになりました。今回、私が渡航したのは、MMCHの医療スタッフと信頼できる関係性を作り、ASHA fusion導入に当たりその意義を理解してもらうためです。2週間程、MMCHの医師も住んでいるスタッフルームに滞在させてもらい、生活を共にしました。まず、MMCHは1日平均何人くらいの患者が来るのか、何人の医療スタッフが働いているのかなど、基本的な情報を調査しました。また、一緒に食事をしている間など仕事の合間を見て、現地医療スタッフにASHA fusionを導入することについてどう思うか聞いて回りました。実際に、現地医療スタッフに試験的に使ってもらうこともしました。そういった日々の活動報告を毎日、日本にいるASHAのメンバーに送り、その都度ここはこうした方がいいなどのアドバイスをいただき、活動していました。

滞在期間の最後の1週間はASHA代表の方も合流し、一緒にMMCHの周辺地域住民を対象とした子宮頸がんのスクリーニング検査を行いました。そこに来た80人の方の情報を現地医療スタッフにASHA fusionを用いて入力してもらいました。得られたデータを解析し、どのような人が子宮頸がんのリスクが高いのかを示すことで、ASHA fusionの有用性を理解してもらい、通常の外来診療でもASHA fusionを導入することになりました。

<病院の外観>

Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について

月曜日から土曜日の朝9時から夕方16時頃までMMCHの医師の後をついて回り、実習させてもらいました。日本とは異なる限られた医療資源の中で、的確に診断し、治療を行っていく医師の姿に感銘を受けました。しかし、日本で病院実習を行っていない状態かつ医学英語も全然わからない状態だったので、質問されても答えられなかったことが多くあり悔しい思いをしました。その時、いつも助けてくれてたのが他の国からインターンとして来ていた医学生です。MMCHは地域住民への無料健康診断や保健教育など公衆衛生活動に力を入れている病院で、様々な国から医学生が勉強するために来ています。私がいた時は、ドイツとオーストリアから医学生が来ており、彼らも私と同じく病院のスタッフルームに住んでいました。病院実習中に聞き取れなかった単語を後で教えてくれたり、ASHA fusionを導入することについてどう思うか一緒に考えたりと彼らには日々助けてもらっていました。また、実習が終わった後、16時~19時頃まで毎日一緒に街歩きをして、とても楽しい時間を過ごしました。

Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか

-場所について

ASHAの活動拠点であったから。

-期間について

春休みを利用して3週間ネパールに滞在しました。2週間、MMCHに滞在し、1週間は観光していました。

Q4. 留学に至るまでの準備について

渡航前に一度、ASHA代表の方とお会いして、どのような活動をするのか打ち合わせをしました。Skypeでミーティングを行うこともありました。

Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点

ありきたりのことですが、もっと英語を勉強しておくべきだったと思いました。ネパールの医学部では授業・教科書はすべて英語で、ネパールの医師は日常会話だけでなく、専門用語もすべて英語で話せます。私にとって医師と同じラインに立って会話するのはかなりレベルの高いことでした。

工夫してよかった点は、苦労した話のところに書きました。

Q6. 留学していた場所について

Manmohan Memorial Community Hospital(MMCH)は、首都のカトマンズの中心地から車で1時間半程のところにある病院で、Community Hospital(寄付を始め地域のお金で運営されている病院)で、地域の医療拠点として医師3名、職員計38名が働いています。病院のスタッフルームはトイレ、シャワー付きの個室で快適に過ごせました(水しか出なかったので寒かったですが…)。また、食事も3食ついていたので、困りませんでした。なにより3食付いて1泊700円は安すぎます。

<MMCHがある街を一望できる山から>

Q7. 留学中どのような人とかかわったか

病院にいる医師を始めとする医療スタッフ、他の国から来ていたインターンの医学生

<ドイツとオーストリアから来ていた医学生>

 

一緒に観光したり、お互いの国の料理を作るinternational partyをやったりしました。とても楽しい思い出ができました。

Q8. 英語の能力はどう変化したか

周りに英語を話す人しかいない状況の中に1人でいたので、言いたいことを何とか伝える力がついた気がします。しかし長期間の滞在ではなかったので、それほど大きな変化はないと思います。

Q9. 留学のメリット/デメリットについて

-得たもの

体重。ご飯が美味しくて太りました。

友達。他の国の医学生と友達になれたのは嬉しかったです。

-失ったもの

肌の水分。標高が高いせいか、朝晩はかなり冷え込み、乾燥していました。

-得られなかったもの

首都のカトマンズからバスで7~8時間程のところにあるポカラという町まで朝日を見に行ったのですが、その日は曇っていて綺麗に見られなかったです…。

Q10. 現地で苦労した話について

日本人1人しかいない状況かつ医学生という立場で、プロジェクトを前に進めるのが難しかったです。私は他の国から来ていた医学生と同じようにインターン生としてみなされていたので、忙しく働く医師の後をついて回りながら、その合間にASHA fusionの話をしたり、医師以外の医療スタッフと話す時間を見つけたりするのが大変でした。

また、医師と話をしても、患者さんを診るときはパソコンの画面を見ながら話すのではなく患者さんの顔を見て話したい、パソコンにタイピングするのは紙に書くより時間がかかるからやりたくないなど、否定的な意見が聞かれ、正直この病院にASHA fusionを導入しなくてもいいのではないかと思うことがありました。そのような状況で自分の中で大事にしていたことが、日本から来た部外者として日本のソフトウェアを押し付けるのではなく、あくまでもネパールの医療を学びに来た1人の医学生として相手の考えや意見を聞き出すことです。

否定的な意見を言われても、こうした方がいいなどは言わず、とにかく現地の医療スタッフに溶け込めるくらい仲良くなって本音を聞き出すことに努めました。また、日本にいるASHAメンバーからのアドバイスもあり、最後に子宮頸がんのスクリーニング検査を終えた後には、通常の外来診療でも使いたいと言ってもらえました。さらに、私がMMCHを去る日にfarewell partyを準備してくれていました。そこで医師を始めとする医療スタッフから感謝の言葉をかけてもらい、本当に嬉しかったです。

<farewell partyの様子>

Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ

以前の大学時代から途上国で働きたいと思っており、これまで10ヵ国以上の国を訪れ、様々な活動をしてきました。しかし、現地に行っても、見学したり、勉強したり、交流したりするだけで、今の自分では途上国で何もできないことに気づきました。それから途上国で人の役に立ちたいという思いと、感染症や予防医学に興味を持ったことから、医師を志し医学部に入りました。医学部2年の春休みに訪れたアフリカでたまたま出会った人が、自分の興味のあった予防医学や公衆衛生の分野で活動してたのがきっかけです。

 

Q12. 留学後の展望について

2018年3月の渡航以降、MMCHの現地スタッフとの連絡係を務め、現在はプロジェクト全体を管理しています。また、2018年9月にもネパールに行き、フォローアップを行いました。ASHA fusion使用し始めてから半年以上経ち、患者さんのデータが蓄積されてきたので、今後はそのデータを解析して、それに基づいた公衆衛生活動を行っていきたいです。これから自分がやりたかったことができそうでワクワクしています。

Q13. 留学へ行く前の自分へのメッセージ

もっと勉強してから行こう!

Q14. 後輩へのメッセージ

興味のある方、ぜひ一緒に活動しましょう!

Q15. その他、言い残したことがあればどうぞ

粘り強くとNepaliをかけて、ネパリ強く生きるというタイトルにしました(笑)

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