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VivoとVitroの間、生命倫理を考える

  • 著者:倉田 侃太
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:City of Hope
  • 留学目的:研究留学

一問一答コーナー

名前:倉田 侃太 (Kanta Kurata )
所属大学・学年:山口大学4年
留学先の国:アメリカ
留学先の大学(機関):City of Hope
留学の期間:約半年間
留学の目的:研究
留学の費用(概算):約100万円
-学費:特になし
-家賃:10万円/月
-生活費:1万円前後/月-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):30万円
プログラム(仲介してくれた機関/人):大学の教授
利用した奨学金:トビタテ留学JAPAN
VISA:F1
保険:tabiho たびほ
留学中の住まい:Airbnbから月契約にしたアパート

オルガノイドに関する研究を海外で行いたいと考えてアメリカへ留学しました。留学先は病院の周りに研究施設が集まっている機関で基礎と臨床の橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)が活発でした。1年間の留学予定でしたが、諸事情で半年間の研究となりました。マウスの乳腺を扱い、性ホルモンに関係した3次元培養などを行いました。

Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて

主にマウス由来の乳腺細胞をマトリゲルという3次元培養のための培地を用いて培養を行いました。ラボが乳癌などに関係する性ホルモンや薬剤を扱っていたので、乳腺を構成する細胞に対するエストロゲンやプロゲステロンの影響を勉強しながら培養条件の検討をしました。他にはSingle cell analysisを行うための準備などの作業やRというソフトを用いたクラスタリング解析の方法を教えていただきました。

実験室以外では研究だけでなく臨床にも関連する講演会や勉強会に参加することができました。アメリカの研究文化や基礎と臨床研究を行う病院の特性なども知ることができたと思います。

Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について

アメリカの祝日の過ごし方などの日常生活は数ヶ月の滞在でも沢山知ることができました。また、近くの教会に通っていたのでキリスト教についてだけでなく現地での宗教の役割やそこを軸にした共助コミュニティなど社会的な背景は多くを学べたのではないかと思います。

Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか

-場所について

場所はできればアメリカかな…程度で海外の研究室ならどこでも良かったのですが、大学の先生の紹介で決まりました。本来なら興味のある論文を読んでApplyできたら良かったのですが、時間や確実性を考えて教授にお願いすることにしました。

 

 

-期間について

入学当初からどこかで1年間時間を使って好きなことをしようと考えていました。途中で公衆衛生や社会医学系の分野にも興味を持ちましたが、入学時に考えていた基礎系の研究医としての将来を検討するために大学の基礎配属機関(半年)と休学(1年)の時間を使ってペーパーになるような仕事が出来たら(出来なかったら卒後直ぐに研究に行くことは諦めよう)と思って決めました。

Q4. 留学に至るまでの準備について

留学の1年半前頃から学内の先生に何人か相談を始めました。実際に準備が進み始めたのは奨学金に申し込むタイミングの前になった、留学の半年前です。行先の研究室へのメールで関心のあるトピックなどを伝え、奨学金申請の手続きに取り掛かりました。個人的に一番大変だったのはビザの申請でした。留学先の期間とのやりとりも多く必要になるため遅れが生じやすく、出発する月にギリギリで取得しました。滞在先などは基本的に渡米してから進めました。

Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点

研究においては当たり前ですが、受け入れ先のラボの論文や興味のある論文などをもっと読んでおけばスムーズにいったと思います。滞在先でしかできないことに時間を使うためにも準備段階で取り組めておけば最高だと思います。しかしながら、講義や試験など大学のカリキュラムとその他の準備を行いながら、それにも取り掛かるのは中々にハードなのが現実かとも感じます。

生活においてはドル(現地通貨)の入手方法を確立しておいた方が良いと思いました。クレジットカードで基本的に対応できると考えてあまり持ち込んでいなかったのですが、家賃の支払いに現金が必要になり、生活にも慣れない留学当初に不必要にストレスを抱えることになりました。

Q6. 留学していた場所について

ロサンゼルスはカラッとした気候で晴れが多いところでした。住んでいた地域はチャイニーズとスパニッシュの方が多い地域で、人も店も日本では味わえないような多様さがありました。治安としては繁華街からは少し離れていたのでとても悪くはないですが、銃声を聞く機会もあり事件も多少はありました。基本的に夜の移動はUberやLyftといった乗車サービスを利用していました。ここ数年は家賃も上がってきているらしく、それなりのセキュリティーも考えると生活費は高くなってしまいます。スーパーの食材は日本とあまり変わらない値段かと思いますが、レストランなど外食はチップもあり割と高くなってしまいます。休日にロサンゼルスの中心地に行くことができるので、遊びなどのリフレッシュの時間も取ろうと思えば楽しめるかと思います。

Q7. 留学中どのような人とかかわったか

主にラボの方々とですが、他には台湾などからの留学生や教会の人たちです。

Q8. 英語の能力はどう変化したか

ボキャブラリーは増えたかと思いますが、帰国してから積極的にキープするために触れることが出来てないので正直大きくは変化していないように思います。関わっていた人の影響で英語よりもスペイン語の方が成長しました。

Q9. 留学のメリット/デメリットについて

-得たもの

関わった研究に関する知識。他文化に一定期間触れる機会。帰国後、日本や住んでる地域への新たな眼差し。

 

-失ったもの

留学に行っても行かなくても大きく変わらないが、単純に1年間のお金と時間。

 

-得られなかったもの

パブリッシュできるような成果。

Q10. 現地で苦労した話について

ラボ内でのメンバーとの関係構築が一番苦労しました。母語の違いだけでなく、コミュニケーションは難しいものだと改めて感じました。

 

Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ

Q.3の時期についてで書いた内容と同じです。

Q12. 留学後の展望について

基礎のウェットの実験や研究から一度離れて社会医学など別のトピックに移ることにしました。在学時はACPに関わる地域研究やIGD(ゲーム依存症)に関するリサーチをしようと考えて活動しています。

 

Q13. 最後に一言(後輩へのメッセージなど)

いくら考えてもやってみないとわからないのは実験含めて何事にも共通すると思います。思い立った時がチャレンジするタイミングの一番若い時だと思うので、何か行動したいことがあれば積極的に取り組んでいくと(苦労もありますが)毎日楽しくなるかと思います。

Q14. その他、言い残したことがあればどうぞ

特にありません。記事を読んで質問などある方は下のアドレスにご連絡ください。

kanta.k1997@gmail.com

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