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NIHでのびのびサイエンス留学

  • 著者:森部 文弥(京都大学医学部医学科6年)
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:NIH
  • 留学目的:研究

一問一答コーナー

名前:森部文弥(Fumiya Moribe)
所属大学・学年:京都大学医学部医学科6年生
留学先の国:アメリカ合衆国
留学先の大学(機関):NIH
留学の期間8月~10月の2か月(大学4年時) 
留学の目的:研究
留学の費用(概算):~50万円
-学費:0円
-家賃:14万円
-生活費:15万円
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):15万円
プログラム(仲介してくれた機関/人):放射線遺伝学武田教授の紹介(京都大学医学部の短期海外派遣期間)
利用した奨学金:トビタテ奨学金、学内奨学金
VISA:ESTA
保険:東京海上日動
留学中の住まい:ワシントンD.C.に住む日系アメリカ人の家の一室

 

【プロフィール】

東京出身。

小さい頃から昆虫や魚など生き物全般に対して興味があり、ヒトの体についてよく知りたいという気持ちから京都大学医学部に入学。

現在は特に基礎研究に対して関心がある。

NIHでの留学が契機となり、京大血液内科で研究を行う。現在は、理研でゲノムサイエンスを勉強中。

 

【サマリー】

研究の面白さ。

多様性に富む研究環境。

継続することの大切さ。

Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて

アメリカ、メリーランド州、ベセスダにあるNIH・国立がん研究所のYves Pommier先生の研究室に留学させて頂きました。

抗がん剤の感受性に相関があることで発見されたタンパク質の研究を行いました。当時留学中であった、現在慶応大学所属の村井純子先生に実験に関する様々な知識を手厚くご指導して頂きました。

 

ラボでの活動

朝10時頃ラボに行き、原則17:30に帰ってよいというスケジュールでした。

最初の実験は先生に教えてもらい、二回目以降は自分で行いました。先生はテーマについて丁寧に様々なことを説明してくださったため、何度もディスカッションさせていただき、留学後半になると、自分のアイデアで実験させていただくこともありました。

Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について

キャンパスについて

NIHのキャンパスは広大な敷地にあり、建物と建物の間の原っぱには鹿やウサギが良く歩いているのが印象的でした。

近年は鹿が増えすぎて問題になっているそうです…

 

滞在場所

ワシントンD.C.はアメリカの中でも非常に日本人が多い街です。

前年に同じ研究室に留学に行った先輩の紹介から日系アメリカ人のおばあさんの家の地下の一室を借りました。月650ドル(およそ7万)でした。ワシントンDCで私より安く住んでおられる方はおらず(相場は10万円以上)、ホスト先の方とはよく夜ご飯をご一緒させてもらうこともあり、良いステイ先だったと思いました。

大学、研究施設の寮が見つからない方は、現地の日本人コミュニティに連絡して滞在先について相談するのが良いと思いました。

 

食事

初日にNIHの食堂でカレーを食べたら、1700円もかかり目が飛び出しそうになりました。ラボの研究員の方々もお昼ご飯を家から持参している人が多く、それ以降は自炊をして乗り切りました。そのため食費に関しては日本にいるときよりもかからなかったです。

 

Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか

-場所について

NIHは世界でもトップレベルの研究所なので、どのような環境で研究が行われているのか実際に見たかったことが大きな理由です。

 

-期間について

まとまった期間として夏休みの2か月間を使って行きました。

 

Q4. 留学に至るまでの準備について

最初のコンタクトは11月に教授に紹介された直後にメールで挨拶をしました。

留学書類の申請はかなり大変で、何枚もの誓約書、自分の銀行預金証明、海外旅行保険の証明書を提出しなければならなかったです…

3年生の10月ごろから医学部のMolecular Bioscienceのラボに通い始めました。頻度としては平均すると週に1回ほど行き、ラボでの基本的な動作(ベンチの使い方、細胞のスプリットや冷凍保存の仕方)、一部の実験の基本手技を学びました。

 

Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点

日本で学んだ実験手技はあまり使わなかったので、前もって留学先の先生にどのような実験手技が必要かメールで確認しておき、それを中心に学ぶ方が効率的だったかもしれないと思いました。

行く前はスピーキングのことばかり不安になっていましたが、実際はリスニングをもっと鍛えておくべきだったと思いました。

スピーキングに関しては、プレゼンなどではある程度自分で前もって準備でき、質問された際はゆっくりであってもなんとか伝われば、どうにかなるのかなと思いました。一方、質問それ自体が聴き取れないと致命的でした。

Q6. 留学していた場所について

アメリカ、メリーランド州、ベセスダにあるNIH・国立がん研究所のYves Pommier先生の研究室。

ベセスダはワシントンD.C.の隣町です。

Q7. 留学中どのような人とかかわったか

ラボではアメリカ人の方は数人だけで、そのほかの国の人がほとんどでした。

Q8. 英語の能力はどう変化したか

とくに大した変化は見受けられませんでした。

半年以内の短期留学であれば、留学先で英語が上手くなることを期待するよりも、留学前に年単位で英語力を磨く方が得策かもしれません。

Q9. 留学のメリット/デメリットについて

-得たもの

NIHではのびのびと研究のお手伝いをさせていただけたので、二か月間とても楽しむことができました。自分の興味のままに積極的に取り組み、あれこれと考えて試行錯誤してみる研究の楽しみも一部学ぶことができました。

 

-失ったもの

デメリットは時間とお金がかかることくらいですが、お金に関しては奨学金を取れば問題なく、時間に関しても、経験できたことの価値を考えると非常に有意義な時間の使い方だと思います。

 

Q10. 現地で苦労した話について

ラボではアメリカ人の方は数人だけで、外国人がほとんどでした。

一方実生活では度々、ネイティブの方の早い英語に苦労することがありました。

ネイティブの方は聞き返しても全く同じスピードでもう一度言うため、結局分からずじまいのこともありました。

Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ

3年生の秋ごろに4年生の夏期休暇中にある学内の海外派遣プログラムのオリエンテーションがあり、留学先探しが始まりました。私は、2年生の頃から、このプログラム期間中に短期海外留学に行きたいと思っていたため、早速、放射線遺伝学武田教授に留学先を紹介してもらいました。

Q12. 留学後の展望について

海外のラボの中で、多様なバックグラウンドを持った人たちがのびのびと研究している活気ある雰囲気が非常に印象的でした。将来、自分も留学してみたいと思うようになりました。

また、留学中に研究の面白さを体験でき、大学に戻っても研究を継続したいと考えたため、NIHで行った研究に関連したプロジェクトを探し、京都大学付属病院血液内科の研究室で研究を継続させて頂きました。現在私は6年生で卒業も近いということで、それを論文にまとめています。

Q13. 最後に一言(後輩へのメッセージなど)

アメリカに数か月行くなら、せっかくの機会なので、他のラボも見学させてもらって色々見るのがいいかもしれません。

行く前からメリット・デメリットを考えることは実際のところはあまり意味がないと思います。

行けば、行った人それぞれに独自の想定外の利点・欠点が見えてくると思います。

1年以内の短期留学という機会はそれを少しだけ見ることができる良い機会だと思います。大学生の期間は留学がもっともしやすい絶好の機会なので、まずは行ってみて肌で経験してみることをお勧めします。

 

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