
WHO本部インターン 〜医療と外交のはざまで〜
一問一答コーナー
名前:吉川健太郎(Kentaro Yoshikawa)
所属大学・学年:京都大学医学部医学科6年生
留学先の国:スイス・ジュネーブ
留学先の大学(機関):WHO本部 医療制度局
留学の期間:4年次/2018年8月-11月
留学の目的:インターンシップ
留学の費用(概算):
-学費:
-家賃:約11万円/月
-生活費:約7万円/月
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):約14万円
プログラム(仲介してくれた機関/人):日本WHO協会
利用した奨学金:トビタテ奨学金
VISA:
保険:
留学中の住まい:
【プロフィール】
2015年京都大学医学部医学科入学。2016年に日本企業とアジアの学生を結ぶ団体AJASTを設立し、京都大学チャレンジコンテスト受賞。2018年には日本インドネシア国交60周年記念事業に認定される。 2018年スイス・ジュネーブのWHO本部にてインターンを行い、パブリックヘルスに関する国連加盟国会議にて宣言文書の採択に尽力。帰国後はG20大阪エンゲージメントグループや日本WHO協会運営委員として数々の国際会議の運営に携わる。2019年にはグローバルリーダーシッププログラムに選抜され、ワシントンDCのアメリカ国務省やグーグル本社を訪問。その後妊婦さん支援プロジェクトUmenokiの共同代表に就任。Japan Business Model Contest ファイナリスト。
【サマリー】
・WHO本部でのインターン
・様々な人との出会い
・経験することの重要さ
Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて
WHOの中でも、医療政策を扱っている部署というだけあって、日々の業務は医療というより政治でした。テレビでよく見る円卓で各国の外交官たちが様々な議題について討論をしたり、宣言文の詳細を詰めていく姿はかっこいいと思いましたが、それと同時に、綺麗事だけでは決まらない各国の腹の探り合いで進む外交のリアルな部分も見ることができ、毎日が新鮮でした。
Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について
スイスのジュネーブはとにかく物価が高い。ただ住人は公共交通機関が無料だったので、買い物は隣国フランスのスーパーまで買い出しに行っていました。
またWHO以外にも様々な国際機関が集積している街だったので、様々な国からやってくるインターン生たちと遊んだり、他の国際機関で働く日本人の方にお会いしたりしていました。
Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか
-場所について
小さいころから国連に憧れを抱いていたため、大学中に一度行ってみたいという気持ちは強かったです。特に僕は行政に興味をもっているため、WHOの中でも医療政策局を希望させてもらいました。
-期間について
京都大学は大学4回生の時にマイコースプログラムという研究室配属の期間があったため、その期間に行きました。8月から10月はスイスのジュネーブに、その後国際会議でイギリスのマンチェスターとカザフスタンに行きました。
Q4. 留学に至るまでの準備について
Web上での書類選考と、行きたい部署などについて話し合う面談で決まりました。
ちょうどWHOのシステムの移行期であったため、申請時にトラブルが相次ぎ、最終的に全ての資料がアクセプトされたのはヨーロッパに向かってる飛行機の中でした笑
Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点
物価が高いと聞いていたのでキューピーのあえるだけパスタソースをいくつか持っていったのですが、宿に料理する場所もなかったので非常に重宝しました。
Q6. 留学していた場所について
スイスはヨーロッパの真ん中にあるだけあっていろんなところに観光にいきました。特にアルプス山脈のトラッキングと、ヨーロッパに留学中だった同級生と一緒にいったドイツ・ミュンヘンのオクトーバーフェスティバルは一生忘れられない最高の思い出になりました。
Q7. 留学中どのような人とかかわったか
在ジュネーブ日本大使館の方々やジュネーブにある国連機関で働く日本人職員の方々には非常によくしてもらいました。またWHO内でも特に同じ部署の秘書さんや同室のインターンには色々なものをもらったり、毎日楽しい時間を過ごすことができました。
Q8. 英語の能力はどう変化したか
会議で議事録をとらないといけなかったので、それが大変でしたが、デスクワークが多かったので話すことよりも読み書きの能力の方があがった気はしなくもないです笑
Q9. 留学のメリット/デメリットについて
-得たもの
経験…ありきたりですが、これがやっぱり1番大きい。普通では絶対にできないことをさせてもらえて、世の中を見る目というのは大きく変わりました。
(個人的なベストシーンはカザフスタンに入国する際に外交官レーン通してもらえたのと、会議場から公邸までパトカーに先導してもらったこと。)
-失ったもの
心の安らぎ…せっかくの機会だから全力で働こうと思って行ったため、死に物狂いで働きました。特に担当していた国際会議の前は食事を食べる時間も惜しむくらいにずっと作業をしていましたが、心身の健康は蝕まれていたと思います。
-得られなかったもの
人生のプラン…将来どうしようか迷っていたため、ジュネーブ滞在中様々な経歴の方にお会いして色々お話しを伺いましたが、全ての人が計画的にこうした仕事についたわけではないと教わりました。人生の節目節目で1番良いと思う道に進んでいくしかないんだなと深く実感しました。
Q10. 現地で苦労した話について
電車の遅れがひどい。スイスの電車は良かったけど、ドイツの電車の遅れが度を超えてるせいで、乗り継ぎがうまくいかずジュネーブまで帰る終電がなくなってしまったこともありました。
またwifiなどはなにも借りていかなかったので、基本休日の観光はぶらっと近隣の国にいって気の赴くままに観光していましたが、予約していたはずのホテルが取れてなくて急遽近所の優しいおばあさんの家に泊めてもらったこともありました。
Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ
高校のころから市のプログラムでアメリカの姉妹都市に派遣していただいていたりと、海外には興味がありました。ジュネーブに行きたいと思いはじめたのは3回生の夏頃で、そこから準備しましたが結構ぎりぎりでした。
Q12. 留学後の展望について
現在、多国籍なチームメンバーと一緒に妊婦さんのプロジェクトを日本・ブラジル・インドネシアの国々で進めています。インターン中海外の人たちと一緒に1つの目標に向けて頑張っていく楽しさを実感したからこそ今の自分があると思っているので、これからも日本を軸に常に海外に目を向けられる人間を目指しています。
Q13. 最後に一言(後輩へのメッセージなど)
自分のやりたいことが100%できない状況が続いていると思いますが、どんな状況にあってもその中で最善を尽くして頑張ってください!
Q14. その他、言い残したことがあればどうぞ
新型コロナを境に国際保健の分野も政治的事情によって問題が大きく揺れ動いているように思いますが、医学部生だからといって医学のことだけ知っておけばいいという考え方ではなく、なるべくいろんな世界を見ていただきたいなと思っています。