
夏の医学英語集中プログラムinハワイに参加して
一問一答コーナー
名前:松根 佑典(Matsune Yusuke )
所属大学・学年:昭和大学6年
留学先の国:アメリカ
留学先の大学(機関):ハワイ大学、Hawaii Tokai International College
留学の期間:5年次8月(約1週間)
留学の目的:臨床(医学英語ワークショップ)
留学の費用(概算):30万円
-学費、家賃、寮食代(一括徴収):15万円
-生活費:5万円
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):旅行者用保険(大学で手続き)、航空券(往復10万)、WIFIルーターレンタルなど、ESTA
プログラム(仲介してくれた機関/人):公益財団法人 日米医学医療交流財団
利用した奨学金:医学部夏季集中医学英語研修助成(10万円)
留学中の住まい:Hawaii Tokai International College
【プロフィール】
1992年鹿児島県出身。長崎県の青雲高等学校卒業後2年浪人し、昭和大学医学部に入学。
大学入学時のTOEICは400点台であったが、国際医療福祉大学の押味貴之先生による医学英語の勉強会「チームメディックス」と市販のテキストで少しずつ医療英語と実用英語の勉強をしてきた。6年次にはTOEICで815点、医学英語検定の応用級まではなんとか到達したが、TOEFLやUSMLEなどで基準点を満たす実力は未だない。
大学の学業成績は真ん中程度であり、日ごろの進級試験もコツコツ勉強しないと合格できないポテンシャルなので凡人が取り組みやすい医学英語の勉強法やプログラムについて考えていきたいと思う。
【サマリー】
・他の研修と比べて費用と時間はかからないが非常に中身の濃いプログラム
・語学基準はTOEFL iBT 80点またはTOEIC 730点程度と中級者レベルを求められる
・初心者向けの医学英語の勉強方法について
Q1留学中にカリキュラムで学んだこと
日本国内公募での選考基準を満たし、助成金をもらって参加した学生が15人いた。また、神戸大学と東海大学の学内応募で参加した学生が15人おり合計30人で行われた。
5日間の研修で午前中は医療倫理についてのグループディスカッション、午後はハワイ大学などの病院見学、夕方から夜にかけては英語で医療面接と症例報告の方法を学んだ。医療面接はハワイ大学の学生を模擬患者と見立て練習し、症例報告は現地の医師や大学の先生に対してプレゼンテーションすることでUSMLEのstep 2csを意識した実践的な練習ができた。
基本的な英語の能力があれば参加できる。医療現場を見学しながら医学英語の定型表現をしっかりトレーニングできた。期間は短いもののとても有意義で効率よく勉強できるプログラムではないかと思う。
Q2カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について
ハワイには訪れたことがなかったので休憩時間に行ったアラモアナのビーチやショッピングセンターの散策はとても楽しかった。また現地の寮のラウンジでは、神戸大学や東海大学など他大学の学生と色々な話をして交流した。最終日の懇親会でもハワイ大学の町淳二教授をはじめとするさまざまな先生方と親交を深めることができた。
Q3なぜその場所(国、大学)、その期間の長さを選んだのか
自分の語学レベルや学力水準と照らし合わせて実力相応のプログラムだったから。
-場所について
ホノルルからは離れた郊外にあり、基本的に移動はバスだった。東海大学の分校がハワイにありそちらの校舎と寮で生活した。
-期間について
例年8月のどこか1週間で行われる研修なので東医体や部活の合宿に参加してからハワイに来る学生もいた。6年生だとマッチングや国家試験の勉強で忙しいので5年の夏に参加する学生が多い印象である。
Q4留学に至るまでの準備について
例年研修実施年度の5月から募集を開始する。所定の志望動機書(和文エッセー)や語学試験成績のコピーなどをまとめてメールで送る。基本的に日本語の書類が多く、応募しやすい形式となっている。興味のある学生は日米医学医療交流財団のホームページをこまめに確認してみることを勧める。
Q5準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点について
応募締め切りの前日くらいに慌てて志望動機書を書いたのでかなりスケジュール調整はつらかった。少しでも関心のある学生は前もってホームページを見ながら余裕を持った行程で準備してほしい。
Q6 自分が留学していた場所について
日本の大学の施設なので他学部の日本人学生や日本の高校生と思われる人もたくさんいた。一方でカフェやラウンジはアメリカ式なのでどこか不思議な印象を受けた。治安はよく、衛生面も良好だったと思う。寮と食事はやや簡素な印象を受けた。
Q7 留学中どのような人と関わったか
日本から来たほかの大学の医学生、ハワイ大学の教員と学生、現地の日本人開業医など多彩な人々と交流した。
Q8 英語の能力はどう変化したか
医学英語の定型表現はしっかり学べた。たくさんの先生方の講義を聞き、現地の学生と議論する時間もあったのでリスニングやスピーキングの力も付いたと考えられる。
Q9 留学のメリット/デメリットについて
得たもの
医学英語の初心者にとって定型表現を効率よく叩き込むことができた。
-失ったもの
夏のスケジュールが1週間とられて帰国前後が忙しくなる。個人的には時差ボケもつらかった。
-得られなかったもの
実際の患者を診察したリ、コミュニケーションをとる時間はなかった。
Q10 現地で苦労した話について
寮の建物や食事は簡素であり、シャワー室もあまり快適とは言えなかった。
Q11 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ
昭和大学の国際交流センターから「昭和大学から今年の応募者がいないから参加してほしい」と強く勧められて応募締め切りの直前に申し込んだ。
もともと海外研修は6年次の選択実習のみ行く予定だったが、募集要項と選抜基準をみると
実力相応だったので興味を持った。国際的な現場での研修に漠然と興味のある学生は日頃から海外研修の担当事務局や留学生と交流しておくことで偶然良いプログラムや情報を得られることもあるかもしれない。
Q12 留学後の展望について
たくさんの優秀な人材に出会えたことで、改めて自らの実力の立ち位置を認識した。本研修で得られた基本的な英語力と人脈を生かし、今後とも医学英語の研鑽に努めたい。また学んだ英語をしっかりと活かせるような人材となりたい。
Q13 留学へ行く前の自分へのメッセージ
気になるプログラムがないかをこまめに調べ、応募するならば手続きは早めにすませること。
Q14 後輩へのメッセージ
期間と費用に対して得られるモノの価値が非常に大きい研修だと思う。皆忙しいとは思うがぜひスケジュールを調整して参加してほしい。英語学習に意欲はあるが、医学英語に関しては初心者という学生にはうってつけの研修だと思う。
Q15 その他言い残したことがあればどうぞ
最後に私が医学英語の勉強につかった教材と勉強会を紹介する。忙しい医学部生にとっては医学英語の学習に時間を多く割くことは厳しい。読みやすくまとまっているから海外研修の事前学習としても使える。なかなか外国に行くのは時間的・経済的に厳しいという学生も国内で手軽に勉強できるので参考にしていただきたい。また近年は医師国家試験でも英語の問題が複数問出題されているから英語の基本的な勉強はやっていて損はない。
(勉強会)
Team Medics:
国際医療福祉大学で医学英語教育を専門にしている押味貴之先生の
(教材)
医学・医療系学生のための総合医学英語テキストstep1.2 メジカルビュー社
:解剖や病態、症候学などの英語表現がコンパクトにまとめられている。読みやすい。
日本医学英語検定試験3・4級教本 メジカルビュー社
:医学英語検定は初心者のペースメーカーとして程よい難易度の検定試験である。本書はその公式問題集。試験対策としては索引の単語を暗記すると良い。