
Michiganで最先端の研究と、最高の人々に出会った5ヵ月間
一問一答コーナー
名前:持田 千幸(Chisaki Mochida)
所属大学・学年:山口大学 医学部医学科 3年
留学先の国:アメリカ合衆国
留学先の大学(機関):ミシガン大学
留学の期間:3年生 7月~12月
留学の目的:基礎医学研究
留学の費用(概算):100万円くらい
-学費:0
-家賃:10万/月(光熱費込み)
-生活費:$200/月くらい?
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):保険(日本の大学:2万、ミシガン大:月$100) 航空券:往復25万、deposit:$1800
プログラム(仲介してくれた機関/人):大学の研究室の教授
利用した奨学金:トビタテ!留学Japan、山口大学基金、山口大学の国際支援事業
VISA:J-1
保険:学研災付帯海外保険(大学で強制加入)、ミシガン大の留学生用の保険
留学中の住まい:medical school徒歩圏内のアパートメント
プロフィール
東京都出身。現在山口大学医学部医学科3年。
圧倒的文系脳でしたが、シュバイツァーへの憧れと、祖母の関係で緩和ケアに興味を持ったことをきっかけに、医学部を目指しました…。
大学では3年生まで弓道部所属、4年からは学生会長とESS部長を務める。
1年の頃よりIFMSA-Japanに所属し、カナダモントリオールでの世界総会にも昨年参加。今年度は副代表国際業務担当として活動予定。
趣味は旅行、音楽鑑賞(バイオリン)、執筆活動(笑)
多くの人と触れ合い、新しい価値観を知り、自分の世界観を広げていくことが好きです。学生のうちに色々なことにチャレンジして、吸収して、社会のニーズに即した医師を目指します。
サマリー
・すべてが効率的、合理的なアメリカのLab
・毎日が刺激的でoverwhelming
・現地の人々とのかけがえのない出会いと交流
Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて
私は研究留学だったため、毎日授業はなく、朝9時から夕方6時近くまでmedical schoolの病理学教室で研究を行っていました。MD.PhDコースの医学生(私のメンター)と毎日一心同体で実験手技や研究のbackgroundについて習い、最初1,2か月で一通りの実験スキルを習得しました。日々細胞培養や免疫染色等行いながらデータを取るとともに、同時に研究内容に関連する論文を読んで知識を深めました。論文を自力で読んだ後はいつもメンターが内容をreviewしてくれて、私も英語でサマリーをしたり、データの説明をしたりして、専門用語も多く覚えることができました。昼休みのセミナーや大学内の学会に参加することも度々ありました。
また研究留学でしたが、隣接する大学病院の実態を見てみたいと思い、病院見学を現地のドクターに依頼してレジデントと一緒に数日間総合診療科でshadowingを行いました。全米から優秀な医学生やドクターが集まるミシガン大学で研究を行い、同時に臨床の現場も見ることができたのはかけがえのない貴重な経験となったと確信しています。

<研究室での一コマ>
Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について
ミシガン大学は大規模な総合大学で、様々な分野で学ぶ優秀な学生と出会うことができました。また、スポーツが盛んな上、立派な美術館や音楽ホールも学生のために完備されていて、常に世界最高レベルの芸術に触れることができました。ラボのない週末には現地の学生とアメフトの観戦に行き(スタジアムは全米最大)、またクラシックやジャズのコンサートに通い詰めました(笑)。時には学生自らロースクールを案内してくれたり、一緒に車椅子バスケットのボランティアに行ったりもしました。また彼らはとても勤勉で平日や休日の朝は常に勉強していましたが、オンとオフの切り替えが上手く、私も常に刺激をもらっていました。大学の図書館はとても美しく、かつ設備も充実していて、放課後や休日に勉強しに行くことも多々ありました。

<アメリカ生活>
Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか
-場所について
私の大学は基礎研究配属期間にアメリカやイギリスの大学で研究留学できるシステムを有しており、そのプログラムの中から選びました。各研究室を回って留学先の研究内容や治安などを詳しく聞き、ミシガンを選びました。個人的にアメリカの大学生活を肌で感じるため、総合大学が良いと思ったのも理由の一つです。また、渡航先とは関係なく、学内の留学前のサポート状況も重視して最終的に決断しました。
-期間について
大学の基礎研究配属期間4か月と夏休み1か月をフルに利用して5か月の留学としました。
Q4. 留学に至るまでの準備について
1年以上前から色々な研究室を回り、教授から話を伺って1年前には留学先を決めました。それから研究室に授業の合間を縫って足を運び、実験手技を学びました。同時にトビタテに応募し、留学中における自分の目標や軸を明確にしていきました。年が明けてからVISAや住居の準備を進めました。
Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点
住居は早くから決めておくべきでした。私は先方のadminに完全に頼ってしまい、出発の飛行機直前まで英語で怒涛のやり取りをする羽目になりました(笑)。研究先の最新の英語論文を読んで、下知識がもっとあると良かったかもしれません。メンターが良い方すぎて全く問題はありませんでしたが…。
初めて海外に長く滞在することになったので、留学の5カ月くらい前から毎日DMM英会話を利用していました。部活や飲み会の後も必ずスキップしないことを決めていました。そこでだいぶ英語を話すということに対して根拠のない自信がついたかなと思います。これが意外と大事だと留学後に実感しました。まずは話しかけてみる勇気、これが現地で一番重要な人脈作りに大きく役立ちます。
また、医学科2,3年という学業や部活も最も盛んな時期に留学の準備をするのは容易なことではありません。常に心理面を支えて下さる教授や同期、先輩方に恵まれたことも本当に良かったなと思いました。
Q6. 留学していた場所について
Ann Arborはミシガン大学のためだけに作られたとはいっても過言ではないような街で、学生にあふれ、とても治安のよい場所でした。決して都会ではありませんが、学生が豊かな大学生活を送るために必要なものはすべてそろっています。全米最大のアメフトのスタジアムがあることや、大学のホールでフィラデルフィアオーケストラやチェコフィル等一流オケを聞けるのも大きな魅力の一つではないでしょうか。
夏は北海道のようで晴れて過ごしやすいですが、冬はとても寒いです。雪も年によって差はありますが多く降ります。
Q7. 留学中どのような人とかかわったか
ラボのメンター(ミシガン大のmedical student)とは文字通り一心同体でした。ラボで実験スキルや論文の抄読などすべてを習い、またプライベートでもbakingを習ったり、ロッククライミングに行ったり、アメリカの医学生生活について聞いたり…あげたらきりがありません。Professsorを始め、他のラボのメンバーも非常に良くして下さり、ラボピクニックやラボパーティーにも行きました。
また、ミシガン大の医療系サークルに入ってボランティアに参加したりもしましたが、一番よく時間を共にしたのはJSA(Japan Student Association)にいたアメリカ人の友人達です。彼らは日本でのインターン経験があり、日本人への理解が深く、私の英会話の練習相手になってくれました。英語でカラオケしまくったり、試合に行ったり、ご飯に行ったり、オケに行ったりこれもまた思い出を数え上げたらキリがありません(笑) 帰国した今も、彼らとは定期的にテレビ電話をしています。英会話の練習になると同時に、その絆の深さを実感しています。
日本人の留学生も多くはないですが何人かおり、時折協力し合いながら生活していました。
Q8. 英語の能力はどう変化したか
私は今まで留学経験もなく、帰国子女でもありません。英語は元々好きでしたが、基本的な英会話はできるものの思っていることをすべて伝えられない不甲斐なさがありました。留学中はメンターやJSAの友達と喋りまくったので、少しずつ自分の伝えられることが増えているなという実感が日々ありました。最終的には頻繁に会話を交わす相手とは何の支障もなく会話を楽しめるようになっていました。日本の文化や医学部に関しての込み入った話も慣れた相手なら問題なかったように思います。
ただ、初めて会う相手の発音に慣れるのに時間がかかったり、病院内でのドクター同士の会話や自分の分野外の学会発表内容は意味不明だったりということがたまにありました。
Q9. 留学のメリット/デメリットについて
-得たもの
現地の人々との絆、実験スキル、英語論文抄読力、英会話力、多様な価値観、向学心
-失ったもの
前髪(笑) 他には思いつきません。
-得られなかったもの
100%納得のいくデータ。仮説に即したデータをとれるかというのは本当に不安定性が高く、皆分かりません。特に半年以内にそうしたデータを取るのはなかなか難しいのではないでしょうか。
Q10. 現地で苦労した話について
帰国前の最終発表でスライド40枚ほどの発表を英語でしなくてならず、帰国準備そっちのけで三日三晩パソコンを抱えて寝ていました(笑) メンターが説明してくれるのを録音したり、過去のセミナーを真似て書き起こしたりして文章を組み、何とか形にしました。
Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ
入学してすぐ、大学に半年近く留学できるプログラムがあるということを先輩から聞き、医学部の過密なカリキュラムの中でそのような期間があるとは思いもかけず、絶対に留学しようと心に決めました。中高時代帰国子女の多い環境にいて、ずっと留学に憧れがあったのと、医学研究に関して最先端を行っているアメリカの現状を自分の目で確かめてきたいという思いが強くありました。
Q12. 留学後の展望について
とにかくアメリカの研究室や医学生のレベルの高さに刺激を受けました。日本の医学生として医学の側面で負けてはいられないという気持ちと、アメリカの医学生と対等に話せるだけの語学力を身につけたいという思いが一層高まりました。この思いを今後忘れることなく、アメリカの学生のように日々勉強を怠らない姿勢や、時間のある時には英語の勉強および英語のテキストを用いた医学の勉強を行っていけたらと考えています。現地の友人たちとは一週間に数回テレビ電話で英会話をしてもらっており、語学力をキープする、さらには高めるために今後も継続していきたいと思っているところです。
Q13. 留学へ行く前の自分へのメッセージ
留学に行く直前に大きな試験があり、かなりバタバタしたので、試験勉強は計画的に早めに行っておいた方が良いと思います…。部活との兼ね合いに頭を悩ませていましたが、周りを気にしすぎず、でも感謝の気持ちは決して忘れず、自分のやりたいことを順序立てて考えるべきだと思います。
Q14. 後輩へのメッセージ
長期で留学に行くと、部活との兼ね合い等に相当頭を悩ませるとは思いますが、本当に自分のやりたいことならば、確固たる自分の意思をもって恐れずに挑戦すべきです。自分の代わりに頑張ってくれる人や優しく送り出してくれた人への感謝を表すなら、留学期間を精一杯充実させることです。日本にいる仲間のことを思えばこそ一層頑張れたという実感があります。一度しかない大学生活を決めるのは自分自身しかありません。大変なことも多いと思いますが、留学して後悔は決してないと思います。頑張って下さい!!!
Q15. その他、言い残したことがあればどうぞ
特にありません。