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マヒドン大学シリラート病院

  • 著者:櫻井 裕一郎(千葉大学医学部 6年生)
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:マヒドン大学医学部
  • 留学目的:臨床留学

一問一答コーナー

名前櫻井 裕一郎(Yuichiro Sakurai)
所属大学・学年:千葉大学医学部6年
留学先の国:タイ
留学先の大学(機関):マヒドン大学
留学の期間:2018年1月27日から2月24日(医学部5年次)
留学の目的:臨床留学
留学の費用(概算):10万
-学費:2万
-家賃:5000円
-生活費:3万
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):5万
プログラム(仲介してくれた機関/人):千葉大学交流留学プログラム
利用した奨学金:なし
VISA
保険
留学中の住まい:シリラート病院チャオプラヤドミトリー

プロフィール

幼いころの経験から医師になることを決意。4年の3月に留学を決意したがその理由は英語に苦手意識をもちたくなかったこととマッチングに有利になるかなと考えたため。部活、臨床実習をこなしつつTOEFL、医学英語の勉強を行う。5年の2月にタイのマヒドン大学シリラート病院に留学。現在医学部6年。趣味はダイビング、音楽。

サマリー

・タイの医学生のレベルの高さを知った

・日本では見れないような症例を経験し、処置にも参加できた。

・友人ができた

Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて

前半の2週間は外傷外科で、後半の2週間は形成外科で実習しました。実習内容としては、回診、外来見学、手術見学、急患の対応があり、そして当直にも参加しました。参加して特に驚いたことはタイの学生が非常に主体的に実習に参加していることです。病棟担当では、学生1人につき一般病棟の患者1名を担当していたのですが、担当するといっても回診で発表するだけでなく、傷のドレッシングやデブリドマン、その他の管理もレジデントに聞きつつ行っていました。また外来担当も、学生が問診や身体診察を行い診断しオーダーを出して、それをレジデントの方にチェックしてもらうという形で、日本の研修医のようなレベルで実習を行っていました。

シリラート病院には日本では見られないような症例が多く、非常に勉強になりました。特にバイク事故の患者の多さ、そしてその重症度の高さには驚かされました。印象に残ったのはFAST positiveで大動脈解離も起こしていた患者で、腹腔内出血と血胸に対してドレナージをしつつTEVARをおこなっていました。こういう症例でも心臓血管外科ではなく外傷外科の医師が手術するようでした。形成外科では先天性奇形から美容整形の患者まで幅広い症例がいて、とくに先天性奇形に関しては教科書でしか見たことがなかったApert症候群やピエールロバン症候群を実際に見ることができました。

外傷外科の外来では頭部外傷の縫合やドレッシングを自分の手で行うことができました。外来で患者さんの覚醒下で麻酔をかけ縫合するという経験は初めてだったのですが、学生が監督しつつ優しく指導してくれたためしっかり縫合することができました。

Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について

タイは親日の方が多いようで非常に助かりました。特に留学担当の方が日本語をしゃべれる方だったので言語の壁をあまり感じることがなかったように思います。学生たちも成人向け映像作品を通じて日本語を勉強しているようで、特殊な日本語をいくつも知っていました。

実習の空き時間や実習が終わった後は学生や先生、留学担当の方たちがタイを案内してくれました。シリラート病院はバンコクにあり、水上マーケットやカオサン通りなど様々なところを観光することができました。

タイ料理は非常に多彩でおいしいものばかりだったのですが、一週間ほど経つと日本食が恋しくなってしまいました。そのため病院内に日本食のレストランを適宜利用しつつ一か月間乗り切りました。

Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか

-場所について

今回留学の機会を得てシリラート病院を選択した理由は、タイの外傷症例数の多さにありました。もともと幼少期に顔面の怪我を負い、医師の方に縫合してもらった経験があったため外傷の対応について強く興味を持っていました。しかし1年間の病院実習ではほぼ実際に見る機会が得られませんでした。留学先を選択するにあたりタイは交通事故の件数が日本の7倍もあること、そしてシリラート病院には救急科とは別に外傷外科があると知って、日本では経験できないような症例を見ることができるのではないかと考えシリラート病院を選択しました。

-期間について

千葉大学の留学プログラムが基本一か月間だったため、一か月間にしました。

Q4. 留学に至るまでの準備について

語学に関してはTOEFLibtで80点とる必要があったためその勉強をしました。また一週間に一度医学英語の授業に参加し、それに加え医療英単語についても本を一冊買って勉強していきました。

ワクチン接種に関しては必要なかったので行いませんでした。しかし動物咬傷や感染症の件数が多いので心配な方は接種するとよいと思います。

Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点

コミュニケーションを取るうえでは英語でもあまり困ることはありませんでした。しかし美容整形についてどう思うかと形成外科の先生に質問された際、十分に自分の考えを話すことができませんでした。自分の考えを英語で話せるようにする訓練をもっと行うべきだったと反省しています。

工夫してよかった点は、外傷外科での当直に参加したことです。処置に参加する機会が増えるうえ、一緒に当直する学生との距離が詰まります。

Q6. 留学していた場所について

バンコクにあるので観光する場所には困りません。病院内に博物館があるためシリラート病院自体が観光スポットであり、時間が空いた際は訪れるとよいと思います。またマーケットが病院の前にあるのでタイの独特な食文化を堪能することができます。

一方、電車が通っていないため交通の便が悪く、観光した帰りはタクシーをつかうことが多くなります。しかしタクシードライバーもバンコクのはずれにあるためシリラート病院には行きたくないようでタクシーを捕まえるのにも苦労することが多々ありました。

寮から病院は歩いて20分くらいです。しかし毎朝バスが出ているのに加えバイクタクシーが格安で乗れるので通学に関しては問題ないでしょう。

Q7. 留学中どのような人とかかわったか

マヒドン大学の学生、レジデント、上級医、そしてオフィサーです。皆さん空き時間を見つけては観光に連れて行ってくれるのでさみしい思いをすることはありませんでした。また同時期に留学していたアメリカ人、中国人留学生の方たちとも休日や実習後、ともに過ごすことができました。

Q8. 英語の能力はどう変化したか

日常会話、そして医学英語に関しても向上したと思います。タイの学生はみな英語が上手で、先生の説明している内容を訳して説明してもらえました。またカンファレンスも英語で行われていました。そのためタイだからと言って英語で過ごす機会がないというわけではありません。ネイティブの英語よりもゆっくりで聞き取りやすい上、上手な方もたくさんいらっしゃいました。ネイティブと話すのには不安だけど英語が上達したいという方にはぴったりかなと思います。

Q9. 留学のメリット/デメリットについて

-得たもの

日本ではできないような症例や処置を経験できること、英語のスキルが向上することは非常に大きかったと感じています。加えて海外の友人ができることも重要です。留学後日本を訪れる方たちが何人かいて、そうした方たちと日本で会うと留学に行ってよかったなと感じます。

-失ったもの

留学の期間は病院実習に費やすはずの一か月を利用できたので休みがなくなったということはありませんでした。強いて言うならトフルに準備した時間とお金でしょうか。映像講座をとり相当勉強してから臨みました。トフルはスピーキングやライティングもあり難しかったので非常に苦労しました。

-得られなかったもの

感染症の経験ができなかったことは少し後悔しています。タイは感染症も有名でタイに留学される学生の多くが感染症科の見学をします。しかし今回は感染症科が受け入れをしていなかったこともあり諦めました。

Q10. 現地で苦労した話について

タクシー、食事、お風呂です。

まずタクシーについてです。タクシーを捕まえることも難しい上、悪質なドライバーもいました。また英語が通じないドライバーが多数いて、そうした方とコミュニケーションをとるのも苦労しました。そのため夜帰る際はタクシーで帰ることが少し気がかりでした。

食事についてです。タイの料理は非常においしいのですが、1週間ほど食べ続けているとおなかを壊してしまいました。適宜おなかに優しい食べ物をとる、整腸剤を持っていくなど対策をするとよいです。

お風呂についてですが、寮に冷水のシャワーしかなくて辛かったです。女子はしっかり温かいシャワーが出るようなので心配無用です。男は気合で乗り切りましょう。

Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ

4年の2月です。千葉大学のプログラムで留学するには英語で診察する勉強会に参加することが条件となっており、その申し込みが2月でした。

Q12. 留学後の展望について

2020年に東京オリンピックが開催されますが、私はなにか道を踏み外さなければ研修医として働くことになると思います。多くの外国人の方々が来日し、病院を受診することになります。異国の地で病院を受診しなければならない状況に不安を感じる方も多いでしょうが、少しでもそういった不安を取り除いてあげたいと考えています。また将来留学をする機会に恵まれたら、積極的に活用していきたいなと考えています。

Q13. 留学へ行く前の自分へのメッセージ

自分の考えを英語で話せるように整理しておくこと、そして食べ物には気をつけろと注意したいです。

Q14. 後輩へのメッセージ

シリラート病院の実習は外傷や感染症など日本で経験できないような症例を見ることが大きなメリットだと感じました。また周りの方が英語に翻訳して教えてくれるので非常に勉強になりますし、欧米よりスピードも遅く聞き取りやすいです。こうした点に魅力を感じるのあればシリラート病院は非常に良い選択肢だと思います。

Q15. その他、言い残したことがあればどうぞ

Dr.Natthida,シュガー、プーム、アンをはじめとしたシリラート病院の皆様にお礼を申し上げたいです。

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