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タンザニアでの内科研修

  • 著者:川本 歩(ハンガリー国立セゲド大学医学部 4年生)
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:Kilimanjaro Christian Medical Center
  • 留学目的:内科研修

一問一答コーナー

名前川本歩(KAWAMOTO AYUMU)
所属大学・学年ハンガリー国立セゲド大学4年
留学先の国タンザニア
留学先の大学(機関)Kilimanjaro Christian Medical Center
留学の期間3年次 1か月 7月
留学の目的内科研修
留学の費用(概算)約1500ドル
-学費0ドル
-家賃150ドル
-生活費250ドル
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど)1100ドル
プログラム(仲介してくれた機関/人)大学の友人
利用した奨学金:なし
VISA観光ビザを空港で入手
保険World Nomads
留学中の住まい学生寮

プロフィール

広島県出身。高校生の時に少年兵の本を読み、途上国支援に興味を持ち始める。

国境なき医師団に憧れを持ち、将来海外で医療活動を行いたいと考え、安価で英語で医学を学べる場所を探していたところハンガリーの医学部の事を知る。長期休みで途上国を訪問しミャンマー、ザンビア、タンザニアの病院で研修を行う。

 

サマリー

・準備:日本ほど安全が保証されている訳ではないのでスリの対策や蚊に刺されないための服装や薬灯の事前リサーチを行う。他にはワクチン等の接種が必要となるので早めの準備を心掛ける。

・辛抱強さ:病院に直接自分が研修をしたい旨を伝える際は何度もメールを送る。最悪、電話をかけて担当の方に繋げてもらう。実習の際も先生方に自分の事を覚えてもらう為に何度も質問をしに行く事で自分の研修の幅が広がる。

・病院外も楽しむ:休みの日や研修が終わった後に他の国の医学生と話をしたり現地の方の生活を経験する事も留学の醍醐味。

Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて

途上国における3次医療機関の実態と内科の知識。

私はタンザニアのモシというところにあるKCMC hospitalという大学病院の総合診療内科に1ヶ月滞在しました。日本の総合診療科とは違い、心臓、腎臓、血液などほとんどすべての疾患を担当する科でした。スケジュールは午前7:30から Morning reportと言ってその日亡くなった患者や重篤患者についての報告をします。そのあとは朝食をとるか毎週月曜日と水曜日にはカンファレンスがあり、様々な科の先生が新しい技術について紹介されていました。その後はレジデントと回診をし、午後はその回診で決まった治療方針を実際に研修医と共に行います。毎週火曜日と木曜日はMajor roundと言ってSpecialistも含めた回診が午前中と午後に合わせて二回行われます。外来患者を担当した際は現地の研修医が身体検査を行い、それをもとに一緒にdifferential diagnosis(鑑別疾患)を考えました。病理と病態生理学を終えた後だったので患者さんのmain complaint(主訴), symptoms(症状), history(病歴)から診断を下すという経験はかなり新鮮で楽しみを覚えたと同時に、自分の知識不足で重い病気を見落とす可能性もあるという恐ろしさも経験しました。実務的なことでは採血や身体検査(Physical examination), Ascitic tap等を研修医の監視の下行いました。

具体的な疾患で言えば、AIDS患者の多さには非常に驚きました。さらに10代の方も多く入院されていたので、ARTが無料で提供されることにより致死率は低下したとはいえ、予防の面ではいまだに課題が残っていると考えました。

Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について

イギリス、ドイツ、ベルギーなどのヨーロッパ各国からの留学生と学生寮で共同生活をしながらの生活でした。実習後は一緒にご飯を作ったり、飲みに行ったりしました。ちょうどワールドカップの時期でしたので学生も同じ出身国同士で集まり応援していました。他にはラグビーやフリスビーをする生徒や、スワヒリ語を勉強する生徒もいました。週末はサファリに行ったり、キリマンジャロに登山をしに行った生徒もいました。私は現地の方に招待され、週末ホームステイをしたり違う町に行ったりしました。バスで16時間かけ、世界で2番目に大きいと言われているビクトリア湖のある町に行きました。皆さんが想像するアフリカのイメージ通り、整備されている道は少なく乗り合いバスはまるで日本の満員電車のようでした。中にはお母さんが自分の子供を抱えきれないので助手席に座っていた友人に預けたりするということもありました。ホームステイ先は歩いて1分ほどのところにビクトリア湖があり、水汲みにたくさんの子供が湖畔にいました。湖の利用が生活の一部になっており、湖畔で歯を磨いたり、石鹸で体を泡まみれにした後そのまま湖に飛び込みお風呂として使用していました。主食は米でおかずは豆、魚、牛肉がメインでした。

さらに、現地のHIV患者をサポートするコミュニティーへ見学する機会を頂きました。そこには大人38名、子供64名が所属しています。コミュニティーの責任者もHIVに感染しており、何とかして資金、資源を募っている状況でした。長期的に支援しているスポンサーは一つしかないので、これから親を亡くした子供たちが大学に行くとなると将来が心配と語っていました。足が不自由で奥さんも失った方は誰かの補助がなければ病院に行けない状況なので、コミュニティーのサポートが必要不可欠です。

Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか

 

-場所について

途上国の3次医療機関に興味があり友人の紹介で選びました。1年生の時はジャパンハートのプログラムでミャンマー、2年生の時はザンビアの地域医療に携わったので今回は途上国の中でも規模の大きい環境に身を投じたいと考えていたところ、友人が昔その病院で研修していたので体験談を聞き、決心しました。

-期間について

病院が指定した最大の期間。

Q4. 留学に至るまでの準備について

1.メール

ホームページに記載されているメールアドレスに連絡しました。しかし、数週間ほど返事がなかったため現地に直接電話をし、セクレタリーの方とコンタクトを取ることができました。その後もメールがなかなか来ないので同じメールを最低でも3回は送ったと思います。早めの申し込みが大事だと思います。

2.書類準備

必要書類は大学の推薦書、在学証明、CV、パスポートのコピー、証明写真でした。

3.ワクチン

黄熱病、B型肝炎、A型肝炎、髄膜炎そしてマラリアの予防薬を処方してもらいました。

4. 持ち物の準備

蚊に刺されない為に長袖の服や、帽子、薬、ウエットティッシュー、簡易的な洗濯物干しなど日本では入手出来ない必要な物の準備

 

Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点

食事に困ると考えたので日本の固形のカレールーや、ふりかけなどは役に立ちました。あとはトイレに紙がないことが多いのでウェットティシューを持ってきておいて良かったです。

Q7. 留学中どのような人とかかわったか

学生寮:スイス人、ドイツ人、フランス人医学生

病院:ドバイの医学部に通っていたタンザニア人の医師、中国の医学部に通っているタンザニア人学生

病院外:マレーシア人とタンザニア人の研修医

 

ヨーロッパの医学生は母国語で医学を勉強しているにも関わらず医療英語の知識も豊富で感心しました。内科研修でしたので外来患者からヒストリーを取る必要があったのですが、公用語はスワヒリ語でしたのでタンザニア人の学生と研修医と協力して活動していました。タンザニアの医師同士は英語で会話をしていたので業務自体には影響はありませんでした。

Q8. 英語の能力はどう変化したか

学校で英語を使っているので著しい成長を感じることはありませんでした。私はネイティブではありませんが、実際に英語で医学を学んでいるメリットとして実習で海外に行っても英語で苦労するということはあまり感じませんでした。しかし、アフリカ人の話す英語は独特なので朝のカンファレンスは最初何を話しているのか全く分かりませんでした。回診の際も半分程度わかればラッキーと思っていましたが、会話の数が増えるごとに慣れることができました。

Q9. 留学のメリット/デメリットについて

-得たもの

内科知識や、アフリカでどのように生活すべきかという経験、すべてが私のためになりました。

 

-失ったもの

特に思いつきません。お金も最大の自己投資と考えて失うものとは考えないようにしています。

Q10. 現地で苦労した話について

学生は基本放置でした。つまり業務内容等の説明をしてくださる先生方は一人もいませんでした。なので、自分から回診に混ざりその後直接先生に話しかける必要がありました。中には話をあまり聞いてくれない先生もいたので、最初はどの先生についていけば良いのかわかりませんでした。幸い、ある研修医の方が親切に業務内容の説明をしてくださったおかげでそこから業務に携わることができました。非常に積極性が問われる環境に身を投じられたと感じました。

Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ

1年前にザンビアにて2週間ほど病院実習を行いました。その際は日本人医師についていたので、次は日本人が一人もいない環境で自分の知識を試してみたいと思ったのがきっかけです。申し込み自体は半年前からしました。

Q12. 留学後の展望について

将来、途上国で働くことが目標なので、1年生の時から3年生まで毎年途上国での研修を行ってきました。これからは先進国(日本、ドイツ、アメリカなど)も視野に入れ先進国の技術も学びたいと考えています。

Q13. 留学へ行く前の自分へのメッセージ

特にありません。

Q14. 後輩へのメッセージ

海外での研修は予想以上にハードルが低く、事前に申し込みをすれば受け入れてくれる病院が多いと思います。アフリカの病院は自主性が求められますので学ぶ姿勢を見せれば先生方も喜んで教えてくれます。さらに、医療行為を英語で実践する良い機会なので、海外で働くことに興味のある方はぜひ積極的に申し込みをしてみることをお勧めします。

Q15. その他、言い残したことがあればどうぞ

特にありません。

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