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イリノイ大学シカゴ校 外科系集中治療科実習を経て

  • 著者:西織 浩信(千葉大学医学部卒)
  • 投稿日:
  • 国名: /
  • 派遣先機関:イリノイ大学シカゴ校
  • 留学目的:臨床留学

一問一答コーナー

名前:西織浩信(HIRONOBU NISHIORI)
所属大学・学年:聖路加国際病院 初期研修医2年
留学先の国:米国
留学先の大学(機関):イリノイ大学シカゴ校
留学の期間:大学6年生4-5月
留学の目的:臨床留学
留学の費用(概算):40万
-学費:10万
-家賃:10万
-生活費:20万
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど):保険、航空券、寮の申し込み
プログラム(仲介してくれた機関/人):千葉大学/山内かづ代先生、Dr. Salcedo
利用した奨学金:JASCO、学内の奨学金
VISA
保険
留学中の住まい:寮

プロフィール

H4年生。千葉県出身。千葉大学医学部医学科卒業。学生時代はヨット部に6年間学生生活を打ち込みながら、整形外科にて基礎研究を行い国内、国際学会にて発表。野口医学研究所主催トーマスジェファーソン大学留学、千葉大学留学プログラムイリノイ大学留学。厚生労働省インターン、ソーシャルキャピタル・ラボ立ち上げ等活動しつつ、心臓外科医を目指して修錬中。研修医合同勉強会第2回Resident GIM代表。聖路加国際病院研修医2年目。

サマリー

・現地での臨床を体験するまたとない機会となった。

・医師同士の会話を始めとしたリスニングで苦労した。

・日本で臨床力をつけて、また臨床留学にトライしたい。

Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて

私の実習した科は「Surgical Critcal Care」という外科の一部に属する周術期集中治療科で、アテンディング一名、麻酔科レジデント一名、学生は選択した者のみローテートする小さなチーム構成でした。ベッドは6床、対象の疾患は消化器外科、血管外科、泌尿器が中心であり、下肢の血管バイパスのフォローで1日で一般病床へ移る患者もいれば、稀に緊急手術後に敗血症で亡くなってしまう患者もいて、バリエーションも豊富でした。

一日のスケジュールは以下の通りです。

5:45病院到着 カルテチェック等

6:00レジデントと一緒に、夜間レジデントから引き継ぎを受ける

8:30アテンディング、レジデントと共に回診

9:30 レジデントと朝食

10:00病棟管理

12:00レジデントと昼食

13:00病棟管理

17:00夜間レジデントへ引き継ぎして帰宅

(土曜は回診終了まで実習あり)

 

実習内容

1病棟管理

まず受け持ち患者が1-3人程度割り振られます。病棟管理としては、ほぼ雑務ではあるのですが、患者の身体診察、看護師へのオーダーの伝言、薬品をとってくる、人工呼吸器の設定の変更、術後ICU入室の患者の診察、ライン取り、鼻管を入れるといった多少の手技、受け持ち患者についてコンサルトの電話をかける、等がありました。どれもレジデントに聞きながら行い、学生である自分にとっては大変面白かったです。コンサルトの電話は一番難しく結局レジデントに代わってもらうことも多かったのですが、慣れてからはある程度問題なく行えるようになりました。空いた時間は病棟にて調べもの等をして過ごしました。

また、担当が「Surgical Critical Care」をローテーションしていた麻酔科レジデントであったこともあり、院内のMET(Medical Emergency Team)コールには全て参加しました。実際に自分のレジデントが挿管をした例はありませんでしたが、なかなか貴重な経験だったと思います。

患者さんには様々な人種の方が入り混じっており、宗教の問題から輸血不能である症例を担当したことも大変印象的でした。多種多様な背景の患者さんを診るだけでなく、医療費の問題から生命保険絡みの複雑な問題が生じることもあり、日本とは異なる環境であることを強く感じました。

 

2プレゼンテーション

毎日午前中に受け持ち患者1~3人のプレゼンを行います。朝は、プレゼンの準備のために、夜間の患者変化を看護師に確認、夜間レジデントからの引き継ぎ、自分での問診や身体診察、現状のバイタルやインアウトのチェック、カルテの確認等を済ませ、その日のアセスメントとプランを立てます。そして回診までにプレゼンを用意するのですが、アセスメントとプランを立てることに大変苦労しました。日本ではどうしても治療方法等も医師の後追いになりがちであり、米国のように主体的に実習する重要性を感じました。最終的にはレジデントやアテンディング(研修を終えた医師)から指摘が入り修正されるものの、自分にとっては緊張感のある時間でした。一方、一定の責任感を感じることができるため、「患者を任されている」というやりがいを感じて主体的に実習を行うことができたという実感もありました。

 

3その他

細かい実習内容はローテーションしているレジデントによって多少異なります。初週のレジデントにはカルテの保存を許されていませんでしたが、4週目にレジデントが変わったタイミングでカルテを書きたいと伝えたところ、あっさり許可を頂けました。

また4週目の途中からはベッドの患者数が少なくなったため、「早く帰っていいよ」と言われることもありました。そこで手術の見学をお願いし、成人心臓外科手術2件、小児の心臓外科手術1件、腎移植1件、移植チームの回診やカンファ等に参加する機会を得て、そちらも大変勉強になりました。移植の手術では手洗いも快く許してくれ、流れるような手技を見て、以前持っていた「米国の手術は荒い」という印象も変わりました。特に小児心臓の手術は自分にとって大変インパクトのあるものでした。

Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について

まず寮には各国からの留学生、または海外で医師になってからobserverとして米国に来ている方々がたくさんいらしたので、その中で複数人と仲良くなることができたことが思い出深いです。特に、同じシェアスペースだったイタリアから来た医師2人と一緒に食事に行ったり、単身赴任でアルバイトに来ている米国人のER医と、米国のERシステムに関して話したりできたのはとても印象的でした。

シカゴのダウンタウンにはアメリカ五大湖と博物館、水族館、美味しいレストランと多数の観光名所があり、一緒に留学に行った友人とリフレッシュすることができました。お金の節約のために平日はかなりの頻度でSubwayを食べていたのもとても懐かしく思います。

Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか

-場所について

イリノイ大学は、千葉大学が提携している大学病院の中でも規模の大きな病院であったため、低学年の時からその病院への留学を一つの目標にしておりました。海外からの留学生の受け入れも積極的に行っており国際的な雰囲気の病院であり、シカゴも素晴らしい都市だったので、とても良かったと感じています。

 

-期間について

1ヶ月間というのも決まった期間でした。もう少し長く実習したい思いもありましたが、部活のコーチ業やマッチングの準備などを考えると、無理のない期間だったかもしれません。

Q4. 留学に至るまでの準備について

留学にはTOEFL84点以上、Speaking24点以上が必要だったため、低学年から大学のoptionの英語講義や、全学にあるEnglish houseでのSpeaking、英会話学校への通学など、英語を勉強するために多くの時間を割きました。大学4年生からは週に1回大学で行われていた、英語での医療面接の授業を選択し2年間受講することができたが、このプログラムは留学するに当たって非常に有用でした。また医学単語の勉強も兼ねて、USMLE Step1の勉強も行いました。

Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点

留学中は「とにかく少しでも多くのことを学ばなければ」という脅迫観念に襲われていました。しかし、一緒につくレジデントにも疲れている時はあるため、全ての積極性に対して対応してもらえるわけではないこともあり、もう少し気楽な気持ちで実習しても良かったなと思います。幸いレジデントには評価して頂き、家族ぐるみで食事に連れて行って頂くなど大変良くして頂きましたが、自分が状況を分からずに話しかけ、うんざりされることがあったのも事実でした。

Listeningに関して元々課題があるとは分かっていたが、やはり留学中には苦労することも多かった。特に医師同士の会話が聞き取れないことが多く、もっと米国の医療ドラマを字幕なしで観られるようになるまで、リスニング力を鍛える必要があったと感じました。

Q6. 留学していた場所について

シカゴは、春や夏は過ごしやすい気候ですが、冬は寒く-20度に至ることもあるようで、寒い季節はおすすめされないとのことでした。一方人に関しては大変親切で暖かい雰囲気の方が多く、院内の方も「東海岸に比べるとだいぶ雰囲気は暖かいよ」、とおっしゃるくらいで、多くの方に支えられ、楽しく充実した留学生活を送ることができました。

Q7. 留学中どのような人とかかわったか

主には麻酔科レジデントがローテーションしていたため、麻酔科レジデントと一番密接に関わりました。またアテンディングは週替わりで来るため、計4人のアテンディングにプレゼンテーションしました。他病棟で働いているナース、ナースプラティクショナー、SICUに来る血管外科医、外科医、呼吸ケアチーム、PICCチーム、エコーチームなど、浅い関わりながらも多くの職種の方と話すことができました。

またシカゴ大学心臓血管外科でAttendingをされている太田壮美先生とお会いする機会を頂き、美味しい料理をご馳走になり、米国での臨床について様々伺ったことも、大変思い出深いです。

Q8. 英語の能力はどう変化したか

大きくは変わらなかったというのが正直なところではありますが、自分の英語力で患者との会話、コメディカルとの会話は概ねできても、医師同士の会話についていけないというレベルであることを強く自覚することができました。また勉強を英語で行うという姿勢が身につくきっかけになりました。

Q9. 留学のメリット/デメリットについて

-得たもの

上記で書いたことは全て得たものであり、かけがいのない経験になりました。また推薦状を頂くまでには至りませんでしたが、評価をくださったアテンディング3人全員が5点中5点満点をつけてくれたことは、留学中自分なりに一生懸命頑張ったことへの自信になりました。

 

-失ったもの

1ヶ月という時間と25万円を使用して他のことができたという機会損失にはなりましたが、当時の自分にとっては留学に変えられるものではありませんでした。

 

-得られなかったもの

さらなる英語力。

Q10. 現地で苦労した話について

プレゼンテーションのやり方について、アテンディング毎に若干求められるものが異なり、少し戸惑いました。基本的には、夜間からの変化、重要なバイタル、重要な検査結果、そしてICUフォーマットに基づいて神経、循環、呼吸…と順番に変化を中心に評価を述べ、本日のプランに至る形式が好まれます。しかし、アテンディングによっては、現病歴や既往歴まで全て述べて、かつ暗記をしなさい、と指導するアテンディングや、簡潔に昨日からの変化とプランだけ述べなさいというアテンディングもおり、プレゼンの準備には時間がかかりました。結局は色々なスタイルのプレゼンを練習しておくべきだったというのが実感です。

Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ

高校生で医師になりたいと志した時から、国際的に活躍できる医師になりたいと考えていたので、大学時代に留学はしたいと考えていました。実際大学2年次に1ヶ月の語学留学に行ったり、その後も長期休みには海外の病院見学に行ったりと海外には複数回行きました。

Q12. 留学後の展望について

将来は臨床留学をやはり行いたいと考えています。そのためには何より臨床力と、英語力、実績が必要と実感しています。

Q13. 留学へ行く前の自分へのメッセージ

留学生活は楽しんでください。医療英語のリスニングを死ぬほどやってください。あとは30日の留学期間でもトビタテに応募できたので、それも申し込んで下さい。

Q14. 後輩へのメッセージ

百聞は一見に如かずなので、迷っていたら是非留学してください!

成功も失敗も大切な経験になると思います。

Q15. その他、言い残したことがあればどうぞ

お世話になった方へは是非お土産を渡してくださいね笑

2 件のコメント

  • D.B より:

    はじめまして
    岐阜大学医学部5年の者です。
    僕もイリノイに行くことになったのですが、寮はどうやって申し込めばよいのでしょうか?

    • イノシルくん より:

      お問い合わせありがとうございます。INOSHIRUサイト運営です。
      現在、寄稿者の方に回答をお願いしているところですが、先生が心臓血管外科のレジデントなので非常にお忙しく、お答えできるまでにお時間を要する可能性がございます。ご回答いただけましたらすぐご連絡差し上げるようにいたします。ご理解のほどどうぞよろしくお願い致します。

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