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ケンブリッジ大学に魅せられて

  • 著者:今村 洋介(東京大学医学部 3年生)
  • 投稿日:
  • 国名:
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  • 派遣先機関:ケンブリッジ大学
  • 留学目的:サマープログラム

一問一答コーナー

名前今村洋介(IMAMURA Yosuke)

所属大学・学年東京大学・3年
留学先の国イギリス
留学先の大学(機関)ケンブリッジ大学
留学の期間2018年8月下旬の2週間
留学の目的サマープログラムを利用して、海外の医学部で学ぶ経験を得るため
留学の費用(概算)約60万円
-学費1580ポンド (約23万円)
-家賃980ポンド(約15万円)
-生活費約300ポンド(約5万円)
-渡航準備(保険、航空券、Apartmentのdepositなど)航空券の予約、寮のDepositの支払い、学生用ポータルを利用した事務登録、たびほ登録
プログラム(仲介してくれた機関/人)Cambridge Summer Institute 2018 Session 4 (CBL International Summer Institute)

利用した奨学金特になし(ただし東大生ということで、500ポンドのディスカントをしてもらった)
VISA:なし
保険:t@bihoたびほ
留学中の住まいMagdalene Collegeの寮

プロフィール

東京大学医学部医学科3年生。茨城県立土浦第一高校を卒業し、理科三類に入学して現在に至る。所属サークル・部活は鉄門ゴルフ部と東大CAST(サイエンスコミュニケーションサークル)。もともと基礎研究医を志して入学したが、現在は医工学やAI医療など「医療×ものづくり」の分野に興味を持っている。

サマリー

・Cambridge Summer Instituteは医学の授業とイギリス観光を足して2で割ったようなプログラムです。そのため、海外の医学部の授業とイギリスの文化の両方を体験したいという人にオススメです。

・医学の新たな知見を得られたのはもちろん、言語の壁を越えた様々な人との交流を通じて”殻を突き破る”ような経験ができたのが最大の収穫だと思っています。

・大学生のうちに一人で海外に短期留学すると、海外へ行くことに対するハードルが確実に下がります。将来長期留学を少しでも考えている人にとってはいい経験になるのではないでしょうか。

Q1. 留学中にカリキュラムで学んだことについて

今回参加したCambridge Summer Instituteは2週間のプログラムで、私は医学部に入って1, 2年目の人向けのコースを取りました。

1週目はNHS(National Health Service)といったイギリスの医療制度について学ぶ授業、2週目は緩和ケアを中心として医療倫理について学ぶ授業でした。座学だけではなく、OxfordやLondonの病院の見学や、Cambridgeのホスピスを訪れる実習もあり、内容は非常に充実していました。

プログラム中は、ディスカッションで意見を求められたり、困難な課題に対するグループワークを行ったりするなど、学生の主体性が求められる場面が何度もありました。例を挙げると、救急におけるABCDEアプローチを学んだあと、実習室で実際に救命のデモンストレーションを行う実習がありました。私はグループリーダーを担当したのですが、英語で適切な指示を出すのが非常に難しかった記憶があります。日本の授業ではなかなか体験できない緊張感の中、単なる知識だけでなくリーダーシップなど医学部生として求められるスキルも鍛えられたと思います。

そして単位認定もあったため、それぞれの週の最終日には試験もありましたが、特に1週目は与えられたテーマについて論文も引用しながら45分で英語のエッセイを書くというかなり手ごわいものでした。(※持ち込み不可です)

「これがCambridge流の授業なのか」とカルチャーショックをかなり受けた記憶があります。何とか単位は取れましたが!

ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジの正面にて

Q2. カリキュラム以外の、留学先ならではの現地での生活について

今回参加したプログラムは、医学部の授業とイギリス観光を足して2で割ったような内容でした。平日にはCambridgeの博物館や植物園のツアー、ケム川のPunting(長いポールを使って小さな船を漕いでいくレクリエーション)などに参加し、週末にはイギリス南海岸のBrightonや観光名所であるLondonまでバスで行き、自由に歩き回っていました。さらに夜には参加者みんなでクイズ大会をやったり、地元の有名なパブに案内してもらったりなど、イギリスの文化を2週間で存分に味わえる構成になってしました。

そんなわけでイギリスの空気に完全に染まった2週間だったわけですが、寮生活も非常に良いものでした。寮のセキュリティはしっかりしており、シングルルームにも関わらず部屋はとても広々としており、内装は新しくとてもきれいでした。朝食はパンとベーコンとスクランブルエッグという典型的なイギリススタイルで、個人的にはとても気に入っていました(ここは賛否が分かれるところだと思いますが…笑笑)。昼食と夕食は予約していなかったため、中心街まで出歩いてレストランやカフェで友達とご飯を食べていました。

Q3. なぜその場所(国・大学)、その期間を選んだか

-場所について

きっかけとなったのは、東大の医学部国際交流室を通じてCambridge Summer Instituteのお知らせが入ってきたことです。世界のトップレベルの医学部が存在するCambridge大学の教育を一度受けてみることで、日本の教育とは異なった知見を得られるのではないかと思ったのが留学を決心するに至った最大の理由です。また、知人からもイギリスはとても過ごしやすく観光をするにもいい場所だと聞いていたため、一度は学生の間に行ってみたいと思っていたのも決め手の一つとなりました。

-期間について

東大には似たような留学プログラムが多く存在しますが、医学部3年生の夏休みは1か月しかないため、その中で行くとしたら今回のような2週間のプログラムがちょうどいいと感じました。

モードリンカレッジの寮の中庭。日本の秋の気候に近く、とても過ごしやすかった

Q4. 留学に至るまでの準備について

ここでは事務的な話をメインにします。

4/25に東大で行われたガイダンスに参加した後、5月末に参加申し込みの英語のメールを担当者に送り、数日以内に支払いを済ませました。また、航空券は個々人が購入することになっていたため、Expediaを利用してロンドン・ヒースロー空港までの航空券を予約しました。

そして、その後の手続きは学生用のポータルサイト上で行いました。具体的には

・個人情報の登録

・航空券の登録

・空港から寮までの送迎バスを利用するかどうかの登録(利用を選択)

・朝食のみのコースか、3食付きのコースの選択(朝食のみを選択)

・パスポートをスキャンした画像および誓約書のアップロード

・希望するコースの選択(政治、経済、医療など様々なコースの中から第2希望まで選ぶ)

・寮のデポジットの支払い

といった項目です。Visaは不要だったので手続きが楽でした。

また、現地で友達ができることを見越して、WeChatやWhatsAppなどのSNSアプリを事前にインストールしておきました。というのも、海外だとSMSによる認証が難しくインストールができないことが多いと聞いていたためです。なお、この判断は正しかったです。

その他、イギリスの涼しい気候に合わせた服を用意したり、フォーマルパーティー用のスーツと革靴を揃えたり、変換プラグを買ったりなど細かい準備もいろいろありましたが、このあたりは通常の海外旅行の準備をするのとあまり変わらなかったです。

Q5. 準備、留学中の両方について、「こうしておけばよかった」と思う反省点と、自分なりに工夫してよかった点

今回、留学のために医学英語を勉強したり、日本文化についての知見を深めたりといったことが事前にほとんど行えなかったのが一番の反省点ですね…。

実際に授業を受けていたとき、pneumonia(肺炎)やpalliative care(緩和ケア)といった臨床寄りの専門用語がたくさん登場し、理解にかなり苦労しました。先生が英語のネイティブスピーカーということもあり、かなり早口なのも難易度を上げる要因でした。まだ医学部に入って1年目だったのである程度はしょうがないですが、キクタンメディカルなどの教材を利用して少しでも医学英語に親しんでいれば苦労は軽減されたのかなと思います。

救急救命実習中の輸血練習の様子。周囲では医学の専門用語が飛び交っていた

 

また、現地の友達と英語で会話するのは問題なかったのですが、日本文化に親しんでいる海外の学生が予想よりはるかに多くて「EXILE TRIBEのGENERATIONSがすごく好きなの!!知ってる?」とか「日本に観光に行きたいんだけど、オススメの地域ってどこかな?」みたいな話が良く出てきました。そういった時に曖昧な答えしかできない自分がもどかしかったのをよく覚えています。

一方で、一番良かったのは、留学中に現地の運営スタッフや旅行好きの友達など様々な人と積極的にコミュニケーションをとったことです。ご飯を食べに行くにしても、買い物をするにしても、一人で調べるより現地の人のアドバイスを聞いたほうがはるかに良い情報が得られます。また、旅行に慣れている友達と一緒に出歩けば、地下鉄やタクシーの移動などで困ることはほとんどありませんでした。今回は、自分にとって初めて一人で海外に行く機会だったため、心細くなった場面もありましたが、現地でできた友達と密にコミュニケーションをとっていたおかげで2週間無事に乗り切れたのかなと思います。

Q6. 留学していた場所について

Magdalene college, University of Cambridge (ケンブリッジ大学のモードリンカレッジ)で授業を受け、そこの寮に泊まっていました。Cambridgeは街全体が大学になっていて、31のカレッジが街のあちこちに分散しています。イギリスの中でも治安が良いと言われる街です。そして真夏にも関わらず、日本の春・秋のような気候で非常に過ごしやすかったです。さらにLondonやOxfordなどの都市にも1時間ほどで行けるので立地的にも便利な場所でした。

ケンブリッジ市内を縦断するケム川では、puntingが盛んに行われていた

Q7. 留学中どのような人とかかわったか

今回のプログラムに参加していた学生は中国、台湾、日本から来た人たちがほとんどでした。また、医学部生のみならず、別のコースに参加していた経済学部や法学部の学生たちとも関わる機会がたくさんありました。

なお、Cambridgeは秋入学の制度をとっているため、夏休みということもあり残念ながら現地の学生と交流する機会はほとんどありませんでしたが、現地の運営スタッフや授業の先生と仲良くなり交流を深めることはできました。

Q8. 英語の能力はどう変化したか

2週間の短期プログラムなので、英語力そのものが向上したという実感はそれほどありません。ですが確実に言えるのは、「何が起ころうと、英語でもコミュニケーションをとれる」という自信がついたことです。

授業とは全く関係ないですが、一つだけエピソードを紹介します。現地のスーパーで「この商品の予約をお願いします」と頼んでお金を事前に支払っておき、翌日商品を受け取ろうとしたら店員に「予約したなんて聞いていないよ」と言われたことがありました。そこから数十分しつこく食い下がり、こちらの主張が正しいことを店員に認めさせたのを覚えています。小さなことですが、「私は英語でもクレームをつけられる」と自信がつきました笑笑

Q9. 留学のメリット/デメリットについて

-得たもの

自分の“殻を突き破る”ような体験、互いに刺激しあえる友達、そしてこれからも学び続けようというモチベーションです。

私は今回留学するにあたって、「海外で知り合いが0の状態から友達を作る」、そして「医者になるにはどのような心構えであるべきなのか、自分なりに答えを探す」という2つの目標を設定しました。

今回のプログラムでは本当に素晴らしいメンバーに恵まれたこともあり、前者の目標は思っていたより簡単に達成することが出来ました。

そして、日本では経験したことが無いような授業を受けたことはもちろん、パブで夜遅くまで友達と熱く語り合うなど、様々な体験を通して新たな価値観に触れ、普段とは違う自分らしさを見つけられたのかなと思います。例えば、一つ気づいたのは、「英語を話している自分のほうが日本語を話している自分よりもはるかに外向的である」ということでした。これも自分にとっては”殻を突き破る”体験だったと思います。

また、後者の目標については、「学び続ける姿勢を持つこと」という答えが得られました。これは医学部で普段学ぶ、先人たちが蓄積してきた古典的な知識体系はもちろんのこと、医学の多様な分野で働く様々な人に会って刺激を受けたり、言語や他の学問分野を独学したりすることも含みます。

今回のプログラムを通じて、まだまだ自分は勉強不足だと感じることが多々ありました。また、同じ授業を受けていた友達たちはみんな「将来はこういうことをやりたいんだ」という熱いパッションを持っているように感じました。彼らの話を聞いていたら、将来のヴィジョンに向かって様々な方法で主体的に学びを深めていることを強く感じました。それ自体かなり刺激的だったのですが、同時に彼らに負けていられないという思いも強くなったため、私自身もこれからも学び続けようというモチベーションが高くなったように感じています。

プログラム初日のWelcome Partyにて

 

-失ったもの

…参加費の60万円、です。我が家にとっては大金です。今回は奨学金を申請できなかったにも関わらず、親が前向きに考えてくれたためこのプログラムに参加することが出来ました。

 

-得られなかったもの

強いて言うなら、医学部生として学んだことが少なかったと感じています。そういう意味では、臨床医学を学んでからプログラムに参加した方が得られるものが大きいかもしれません。

ですが、今回私がこのプログラムに期待していたことは「医学の学びを深める」というより「海外の大学で学ぶ経験を得る」ことだったため、得られなかったものはあまりないと感じています。

Q10. 現地で苦労した話について

すでに書いた内容ですが、授業が早口かつ専門用語が多くて理解が大変だったこと、現地の店でトラブルに巻き込まれたときに英語で対応する必要があったことに苦労しました。また、治安が良いほうとはいえ浮浪者や薬物依存症?と思われる人にお金をよくせがませたのには驚きました。

そして細かい事ですが、留学準備の時点でイギリスの規格である240Vに対応しているドライヤーを持っていなかったため、現地で苦労したのを覚えています(実は洗面所に110Vのコンセントがあることも多いです)。

Q11. 留学について意識し始めた時期とそのきっかけ

留学を意識し始めたきっかけは、「一人で海外に飛び出してみたい」という気持ちを持ったことです。

1,2年生の時から海外に行くことは何回かありましたが、いずれも語学留学あるいは友達と観光目的で行くもので、日本人の輪の中から抜け出せていない感触がありました。大学生のうちに周りにまったく知り合いがいない状態で海外に行って生活してみたい!という思いが強くなったのが今年の春ごろ。その時期に今回のプログラムを知りました。本当に今の自分が行っても大丈夫なのだろうか…という不安な気持ちがある一方で、留学に対して感じている壁を超えるチャンスは今しかないと直感して申し込んだわけです。

また、医学部生になってからの詰込み型の勉強の毎日に辟易としていて、勉強のためのモチベーションを失いかけていたのもこの時期です。医学部で勉強しているだけでは外部の人と交流する機会はなかなか持てないため、閉鎖的な空間で過ごすことになります。そこで、一度日本を飛び出して様々な人と交流し、海外の医学部の授業を受けて新たな価値観を見てこようじゃないか、そして医者になるためには日々どのような心構えでいればいいのか自分なりに答えを探そうじゃないか、と思ったわけです。

プログラム最終日のFarewell Dinnerにて

Q12. 留学後の展望について

今回のプログラムのおかげで、海外へ行くことのハードルはかなり下がりました。現在考えているのは、6年生の4月~6月に行われる実習のエレクティブ・クラークシップで海外に2,3か月留学することです。これに向けて基礎・臨床医学の勉強および語学の勉強も頑張っていきたいと思います。

Q13. 留学へ行く前の自分へのメッセージ

留学が始まるまでは一人で行くことに不安な気持ちでいっぱいかもしれないですが、いったん殻を突き破ってしまえば、英語を話すことも見知らぬ人と交流することも全く怖くなくなります。そして、いろんな人と積極的に交流すればするほど魅力的な出会いも増えます。ぜひいろんなことを吸収してきてください!

Q14. 後輩へのメッセージ

万人に勧められるわけではないのですが、大学生のうちに一人で海外に行っていろんな人と交流すると、様々な気付きを得られるのはもちろんのこと、”殻を突き破る”ような体験をして新たな自分を発見できるという面白い体験ができるかもしれません。そんな経験ができるのは今しかないです!

そして、大学生のうちに一人で海外に短期留学すると、海外へ行くことに対するハードルが確実に下がります。将来長期留学を少しでも考えている人にとってはいい経験になるのではないでしょうか。

Q15. その他、言い残したことがあればどうぞ

まず、今回の留学のために多額の費用を負担してくれた親には感謝しても仕切れません。本当にpricelessな経験ができたと感じています。

また、現地でできた友達にも本当にありがとうと伝えたいです。日本で、台湾で、そして中国で再会できることを願っています…!

そして、今の自分は留学から帰ってきたばかりで意識が高くなっているのを感じています。しかし、何もしないとせっかくのモチベーションも下がる一方になってしまうというのも確かです。だから、日本でもいろんな人に会って刺激を受け続けることで、学び続ける姿勢を保てたらなと思っています。

ここまでの長文を読んでいただき、本当にありがとうございました。皆さんも、留学でpricelessな経験ができることを祈っています。

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